1. NGOの給料で生活できますか?
大変によい質問です! NGO職員とはいえ、1人の生活者であり且つ家族の生活を支える働き手という事実は真剣に受け止めなければなりません。小職、誠実という重い2文字をもってお答えいたします。
“今の貴方の生活スタイルや支出レベルを落とすことも厭わないというお覚悟がおありであれば、出来ます。”しかし、ご家族があり毎月の支出がある一定の額を下回る事は厳しいという状況であれば、ご家族と共によくお考えになった方が良いかと思います。実際にNGOで働く希望をお持ちになりながらご家族の事情で断念せざるを得ない方々も少なからずおられます。しかし、ここで独身の皆さんにあえて言いたいのです。あなた自身が今からNGO職員の給料で楽しく生活できる基準を作られたら如何でしょう? そして将来のパートナーとなられる方にもその基準をご理解してもらえるなら、決して生活できないような給料ではないと思います(あくまで個人の感想です)。
小職、維新の志士が大好きです。吉田松陰、坂本竜馬、高杉晋作など、安定や出世を捨て大義のために命がけで駆け抜けた彼らの人生に憧れます。一般的には「アオイ」と言われる人間であると自覚しています。しかし、NGOへ就職をお考えなっている独身の方々ににあえて提案いたします。就職を始めとする将来の人生設計を考えるプロセスの中で自分がこの世でなすべきことが何なのか自問する時を是非お持ちください。この自問のプロセスから得たあなたの答えや指針が、NGO就職後に経験するあらゆる困難、即ち業務上の困難、経済的な困難、家庭的な困難、人間関係の困難等の暗闇の中で、あなたに脱出の光をもたらしてくれるからです(これも個人の感想です)。
2.危険な仕事ではありませんか?
これもよい質問です。20年前と比較するとNGOの取り巻く環境は大きく変わったと言えます。20年前は、紛争国の中でNGOは人道支援を行う中立な立場の組織として見られ、紛争の当事者からは攻撃の標的にされることはあまりありませんでした。しかし特に9・11以降、ある国々では、NGO職員は紛争現場に武器を持たずに活動するソフト・ターゲットとして、紛争当事者の政治的メッセージのために標的にされるケースが増えてきています。またテロの危険は、どこの国でもあり、特にNGO職員だからという事ではなく、日本を一歩出たら日本よりも突発的な危険にさらされる機会は増えてきているといえます。従って危険ではなくはないのです。
しかし、そういう環境の中でもミッションのために活動するNGO職員の安全対策も昔と比較にならないくらい強固になっています。最近では、団体の職員に対する最低限の安全対策への義務として、職員への定期的なSecurity Training は必須ですし、危険を伴う現場ではSecurity Officerという安全対策の専門家を常駐させることも団体の義務となっています。現場での支援活動はSecurity Officerの判断により安全確認、活動制限、待機、撤退等の決定を行い、万全を期して職員の安全を守ります。死が怖いのは人間として当然です。人間はこの世に生を与えられた瞬間から死の恐怖と戦って生きているということもできます。
だた、交通事故で死ぬ危険の恐怖に勝てない方は車の運転はされない方が無難であるように、死に対して一般の方よりも過度な恐怖を持っている方は、支援事業に携わるNGO職員にならない方が無難だと思います。どのような職業であれ、環境であれ、危険が全くないということはないと思います。ただ、マラリア等の熱帯病の危険、交通事故や飛行機事故の危険、途上国や紛争地の様々な危険にさらされる度合いはNGO職員の方が一般の方々よりも高いのではと思います。ですので、万全な対策と同時にご家族の理解や自分の中で覚悟が必要ではないかと思います。
3.仕事は楽しいですか?
辛くて厳しいことが多いですが、楽しいに決まっています! なんたって大義があり、少しでもミッションに貢献しているという思いの中で私個人としては、
「I love this stuff! ⇒これ大好きさ!」という気持ちを維持しています。長年働いていれば、誰にでも疲れを覚える時や倦怠期を経験することはあると思います。「でもやっぱりこの仕事が好きです。」と言えるには、仕事を楽しんでいるからではないかと思います。そしてできれば、多くの方々が、NGO職員として仕事を楽しんでいただきたいと思っています。
団体としても、職員の士気に充分に気を配り、職員が心身とも良好な体調の中で団体のミッションのために働けるように職場環境を整えることが必要です。
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この記事を書いた人
- 大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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