ユニセフによると2015年時点、世界では24億人が、改善された衛生設備※を使用できていません。
不衛生な水と衛生設備(トイレ)を改善することにより、すべての死亡の6.3パーセント、あるいは少なくとも9.1パーセントの病気を防げる可能性があるとされており 、この状況を改善するためWVJでも支援地にトイレの設置から手洗い方法の指導まで様々な支援を行っています。
今回はトイレと一言で言っても様々なタイプのトイレがあって、それぞれにメリットやデメリットがあるということをすべてではないですがご紹介しようと思います。
※改善された衛生設備とは: 人間の排泄物に触れることなく、衛生的に処理できる設備を備えているトイレ。例えば、下水あるいは浄化槽につながっている水洗トイレ(水を汲んで流す方式、換気式トイレを含む)、スラブ付ピットトイレ、コンポストイレなど。不衛生な水と衛生設備(トイレ)を改善することにより、すべての死亡の6.3パーセント、あるいは少なくとも9.1パーセントの病気を防げる可能性がある
最近ではデパートのトイレはほとんど洋式ですが、私が子どもの頃は外国の方がトイレに並んでいて、和式が回ってきたときは(和式トイレを使い慣れていないので)譲ってくれた記憶があります。このことから私は、日本以外ではしゃがんで使うトイレは使われていないのだと思っていました。
しかし、アフリカに来てみると、和式風のトイレが使われていました。たまに洋式のトイレがあると、便座が割れているところも。一説には和式風トイレしか使ったことがない方が便座に直接しゃがんで使うので、割れているとか?真意は定かではありませんが、和式風トイレがそんなに当たり前に使われていることは私にとっては意外でした。
しかし、改めて調べてみると、しゃがんで使用するトイレは作りが単純なので作りやすく、また安価で作れるという大きな利点がありました。しゃがんで使うトイレは和式というよりグローバル型とでも言うべきなのではないかと、今では思っています。
WVJの支援地でも色々なタイプのトイレを目にします。多くが、しゃがんで使用するトイレに壁と屋根が設置されたものです。地域によっては屋外排泄が一般的な場所もあります。屋外排泄はハエが病気を蔓延させるという危険性があり、WVJがトイレの設置や使用方法の指導などを行うこともあります。
設置するトイレは、地域の特性によっても様々です。たとえば屋外排泄が一般的であった東ティモールの村落部では、持続可能性を重視して、住民が自分自身の手でトイレを作るようトイレの重要性や設置の技術指導のみを行いました。そのため、多くの住民は写真のような「従来型便槽トイレ」と呼ばれる地中に排泄物を溜める穴を掘り、その上に便座あるいは単に穴の空いた板を載せた簡易なものを作りました。こちらは安価に作れる点は良いのですが、きちんと作らないと雨で崩れてしまう点や、ハエの発生を完全に防げるわけではない点がデメリットです。
比較的裕福な住民の中には「注水式ピットラトリン」と呼ばれるトイレを作った人もいました。(写真がわかりにくくて申し訳ないです。)これは排便後、尻を水で洗浄し、その水を排泄物とともに流すタイプで、悪臭とハエの発生を水で防ぐ防臭弁がついています。当然ですが、このトイレは水が手に入りやすいことが前提になります。
ほかの代表的なトイレとして、私がエチオピアの村落部で見かけた「換気口付き改良型ピットラトリン」を紹介します。このトイレには地中に通気管が設置されており、そこから空気を吸い上げることによって、便の落ちる穴から空気が下降する流れを生み出し、トイレ臭を消すことができます。また、通気管上部にハエよけの網を設置することにより、ハエによる病気の媒介を防ぐこともできます。壊れにくく長期使用が可能で、手入れをしっかりすれば悪臭やハエを最低限に押さえることが可能な一方、設置コストがやや高いというデメリットもあります。
ほかにも「コンポスト型トイレ」と呼ばれる排泄物を一定時間おいておき、堆肥として使えるようにするものもありますが、こちらは私は残念ならが見たことがないです。設置コストがかなり高くなることと、定期的なメンテナンスが必要となる点がデメリットです。また、ウガンダの農家は人の排泄物を肥料として使うことに強い拒否感を示していたので、文化的に設置が適さない地域も存在します。
普段何気なく使っているトイレですが、実は私たちの生活衛生に深く関わっています。現在私が駐在しているエチオピアでも妊産婦が使用する保健施設でのトイレを建設しています。このような私たちの活動を通して子どもたちの健康と笑顔が守られるように願っています。
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この記事を書いた人
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2006年に国際基督教大学卒業後、電子部品メーカーに勤める。
2009年1月より2年1カ月国際協力機構(JICA)青年海外協力隊員としてウガンダへ派遣され陸稲(ネリカ米)普及を中心とした農村開発活動を行う。
2011年9月よりブランダイス大学ヘラー校(Brandeis University, The Heller School for Social Policy and Management)に入学し、開発学修士(MA in Sustainable International Development)を取得。
2012年9月から7カ月間Heifer International Nepalにて修士論文の研究のためインターンシップを行う。
2013年9月よりワールド・ビジョン・ジャパン入団。プログラムオフィサーとして助成金事業を担当。
2016年3月からから2019年3月までエチオピア駐在。
2020年1月からタンザニア駐在。
2022年11月退団。
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