「(アフリカの)エチオピアにいます」と言うとたまに聞かれるのが暑くないのかということです。でも私が住んでいる首都のアディスアベバは2,300mの高地にあり、少し緯度が高いこともあってなのか12月にかけて寒くなります。今日も私はセーターを着てオフィスで震えています。
さて、エチオピアでのクリスマスは色々とユニークです。まず日付からして違い、1月7日とされています。これはクリスマスが12月25日に定められたとされる紀元4世紀以前の習慣に従い、イエス・キリストが東方の三博士から訪問を受けた日をクリスマスとしているからと言われています。
エチオピアの伝統的なキリスト教であるエチオピア正教徒のクリスマスは11月からの43日間に亘る断食から始まります。「43日もの断食!」と思われるかもしれませんが、エチオピア正教の断食は我々が想像する断食とちょっと違い、多くの場合、午後12時~3時くらいまでものを食べない、それに加えて動物性のものを一切食べない、といった感じです(これも人によって強弱があり、魚はOKだったりします。また若い世代ほど緩くなっているようです)。そうして肉を絶ち、待ちに待った(?)クリスマスの朝早く、なんと4時ごろから教会へ行き、7時ごろまで立ちっぱなしでお祈りを捧げます。お祈りが済むとついに断食が明け、家に帰ってお祝い料理であるドロワット(鶏肉の煮込み料理)やタッジ(蜂蜜のお酒)を飲んで過ごします。
また、ヤグンナ・タチャワット(直訳すると「クリスマスの遊び」というそのままの名前です。)と呼ばれるホッケーのような伝統スポーツを村対抗で行なったり、ヤファラシ・スックという馬に乗った男が槍を投げ合う、というちょっと危険なスポーツを行なったりします。ヤグンナ・タチャワットをクリスマスになぜ行なうのか、いつから行なわれているのかといった事ははっきりとは分かっていないらしく、エチオピア正教の口伝によると、キリストの誕生を聞いた羊飼いたちが喜び、手に持っていた羊追い用の棒でボールを叩き合ったのが始まりと言われています。
ヤグンナ・タチャワットのルールはホッケーにかなり似ていて、1チーム7人の競技者が100メートル四方程度のフィールドで幅1メートルくらいの小さいゴールに木でできた硬いボールを木できた棒で叩き入れるというものです。30分を2回行ない、ゴールの多いほうが勝ちとなります。そんなに楽しいスポーツではないのか、はたまた宗教的な意味があるからなのかクリスマス以外で行なわれているのは見たことがないです。
このように古くからの伝統的な過ごし方がある一方で、首都アディスアベバのような都会では西洋風の過し方が広まってきています。今年は近所のスーパーで大きなクリスマスツリーとプレゼントの箱が展示されました。一般家庭でもクリスマスツリーを飾ってプレゼントを贈るような西洋の習慣が一般化してきていると聞いています。
伝統的な過し方であれ、西洋的な過し方であれ、家族とちょっと良い食事をしながらのんびり過ごすというところがエチオピアらしいな、と感じます。
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この記事を書いた人
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2006年に国際基督教大学卒業後、電子部品メーカーに勤める。
2009年1月より2年1カ月国際協力機構(JICA)青年海外協力隊員としてウガンダへ派遣され陸稲(ネリカ米)普及を中心とした農村開発活動を行う。
2011年9月よりブランダイス大学ヘラー校(Brandeis University, The Heller School for Social Policy and Management)に入学し、開発学修士(MA in Sustainable International Development)を取得。
2012年9月から7カ月間Heifer International Nepalにて修士論文の研究のためインターンシップを行う。
2013年9月よりワールド・ビジョン・ジャパン入団。プログラムオフィサーとして助成金事業を担当。
2016年3月からから2019年3月までエチオピア駐在。
2020年1月からタンザニア駐在。
2022年11月退団。
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