【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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スリランカの婚活事情

岡崎スタッフの結婚式ブログがでたので、それに便乗する形で少々スリランカの婚活事情について書きたいと思う。

Mスタッフの結婚式

Mスタッフの結婚式

スリランカ北部で自分が働いていた2年間で数名のスタッフが結婚した。中でも2011年後半は結婚・婚約話が多々あるというめでたい期間だった。スリランカの現在の典型的な婚期は自分が予想していたよりも遅く、男性で30歳前後のようだ。女性は男性よりも少し早い程度といったものだと思うのだが、あるNGO勤務のスタッフから聞いた話だと面接の際の履歴書(スリランカの履歴書は独身か結婚しているのか書くのが普通である)で20代半ばの応募者がspinster (文語で婚期を大幅に過ぎた女性という意味)と書いていたそうなので、婚期の感覚は人それぞれなのだろう。

都市部を除くと、お見合い結婚(というか親の間で話し合いを通じて決まる結婚)が多いので必然的に婚活に親が入ってくるケースが多いようだ。またスタッフの人種(シンハラ、タミルなど)や宗教(仏教、ヒンズー教、キリスト教、イスラム教)などによって婚活のポイントも変わってくるようだ。さらにスリランカでは星占いのルールに従う人もいて、その場合は誕生日の星の並び(?)によって、結婚相手の条件がある程度決まってしまったりする。

タミル文化にはダウリーという花嫁の親が花婿に払う結納金のようなものがある。ダウリー自体はお金だったり、家畜だったり、土地だったりする。そのため娘を持つ親は大変娘を可愛がっている反面、娘が何人もいると将来のダウリーが多額になる可能性があり、頭が痛い問題でもあるようだ。そのため婚活の際にはダウリーの額は結構大きなポイントだったりする。

スタッフに聞くと色が白い、学歴が高い、職が良い、容姿が魅力的、という相手は人気が高くダウリーが高くなったるするらしい。また外国に住んでいるタミル人も結婚すれば移住できるため結婚相手として人気があるようだ。新聞にも個人広告欄があり、「花嫁求む」といった類の広告が出ている。少し読んでみると失礼だが誇大広告のようなものもあり笑ってしまう。携帯電話やネットの普及も婚活の仕方を進歩させているようで、以前なら難しかった交際も親の目から離れてしやすくなっており、親の許可を得ずに駆け落ちするケースも知人の中にあった。

このように色々な条件が関わっている婚活戦線を立派に勝ち抜いて、自分のスリランカ勤務時代の同僚のMスタッフは、昨年十年越しの恋を実らせ高校の同級生と結婚した。ほかのスタッフから聞いた話によると以前一度、彼の父親が仲介人と、相手の女性の父親に縁談を持ちかけたそうだが、その席で彼の父親と仲介人が飲みすぎ、それが相手の父親に問題視されたため縁談が進まなかったということがあったらしく、昨年再トライしてようやく合意してもらったそうだ。最近になって、Mが早々と父親になるようだという話を聞いた。彼なら優しい父親になるだろう。彼の子どもが平和な環境の中で希望と可能性に満ちた幼少期を過ごすことが出来るように願っている。戦争の悲惨さを経験するのはMの代までで十分だ。

Mが父親になるという知らせに喜ぶとともに、事業の管理をする立場から自分勝手ながらも彼が所帯を持った責任感によって、以前にもまして真面目に仕事に取り組むようになってくれるよう密かに期待している。

この記事を書いた人

三浦 曜バングラデシュ事業担当 プログラム・オフィサー
米国Washington and Lee大学理学部化学科卒業。在学中にケンタッキー州の都市貧困にかかわるNPOでインターンをした事でNPOの働きに興味を持つ。一般企業で勤務後、帰国し2008年9月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部緊急人道支援課に配属となる。2009年から2011年までスリランカ駐在、2013年から2015年5月まで東ティモール駐在。2015年8月に退職し、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Public Health in Developing Countries(途上国における公衆衛生)修士号を取得。2016年10月に再びワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部開発事業第2課での勤務を開始。現在、バングラデシュ事業担当。2018年3月退団。
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