【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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ご飯がおいしい!

前回ご紹介した村落出産介助者の研修でのことです。

「家から離れての生活はどうですか?」という私の質問に「家族と離れてちょっと寂しい」という返答は予想通りでしたが、「ご飯がとてもおいしい!」という声がたくさん挙がりました。

日本にいる私たちからすると、それを聞くと研修中にはどんな豪華な食事を食べているの?と思うかもしれませんが、彼女たちのこの返事には色々な背景があるのです。

ハン族の食事風景(こちらはお客が来ているので豪華な食事です)

ハン族の食事風景(こちらはお客が来ているので豪華な食事です)

現在の研修生20名は、ディエンビエン省のトアンザオ郡、ムオンチャ郡にある村落から来ています。彼女たちのほとんどが山岳少数民族であるモン族とターイ族です。彼女たちの村ではめったにお肉を入手できませんし、野菜の種類も限られています。

今回の研修では、講義を受けている母子保健センターの中で研修生たちは三食を食べています。母子保健センターのスタッフと先生が、20人分の食事の用意を当番でしてくれています。

料理前の肉と野菜、手前の木の丸がまな板

料理前の肉と野菜、手前の木の丸がまな板

スタッフや先生はみんなベトナム国内で約87%を占めるキン族です。少数民族であるモン族やターイ族にはそれぞれの文化・慣習があり、彼女たちが普段食べている食事はキン族の食事とは異なります。

例えば、モン族はにんにくを食べません。日本料理よりもふんだんににんにくを使うベトナム料理ですので、料理を受け持つスタッフは頭を悩ませメニューを色々と工夫しています。

料理は私から見てもおいしいそう~と思うものでしたが、決してすごい豪華、という印象はなく、ハノイの定食屋さんでよく食べられている感じ。

母子保健センターではガスが使用されていますが、山の自宅では薪を使っています

母子保健センターではガスが使用されていますが、山の自宅では薪を使っています

それでも食事について質問したわけではないのに、「食事がとてもよい!」と多くの研修生が答えてくれたことに、山の中での山岳少数民族の貧困を感じずにはいられませんでした。

新しい栄養のある料理を知ることも村落助産師には必要なことです。そのため、講義のない土日には、研修生たちも交替で1名ずつがスタッフと一緒に料理当番になります。「当番は一人だけど、全員で来ちゃうのよ」と母子保健センターの助産師さんは、笑いながら言っていました。

0人分の料理を上手によそっていきます

20人分の料理を上手によそっていきます

慣れない町での生活で、研修生たちは土日もみんなでセンターにいると落ち着いて楽しいようです。

今回の研修で、新しい町での生活の中で、様々なことに触れ、たくさんのことを吸収していって欲しいです。

この記事を書いた人

三浦真穂
大学院在学中にフィリピン留学をし、ストリートチルドレン保護のNGO活動に参加する。大学院修了後、他NGOにてタイ、ラオス事業を担当し地域開発に関わる。その後モンゴル駐在にてマンホールチルドレン保護事業、リベリア駐在にて帰還民支援事業などに従事する。2011年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 緊急人道支援・グラント事業課 アジアチーム所属。2011年1月~2012年4月まで、ソロモン諸島に駐在。2012年11月から2016年6月まで、ベトナムに駐在。
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