ラオス駐在員の宮内です。前回ブログの後編です。
ラオスへの長い道のり
1~2カ月のつもりが半年以上となってしまった日本一時帰国期間。一時帰国期間中は遠隔で現地チームや同僚とコミュニケーションを取り、事業管理にあたりました。まさか日本の夏まで長引くとは思っておらず、夏服はすべてラオスに置いてきてしまったため、着るものがあまりないひと夏を過ごしました。季節は移りかわり寒くなってきたころ、やっとラオスへ戻れる見通しが立ちました。
ラオスでは早い段階からの政府の厳しい対策が功を奏し、新型コロナウィルス感染者は累計49名にとどまっています。現在ラオスへ入国できる航空便は臨時便と中国からの1便のみとなっており、入国者には原則14日間の政府指定場所での隔離が義務付けられています。昨年5月以降は、感染者はほぼすべて外国からの入国後、隔離期間中に発症が確認されており*、一般の生活においては完全に日常を取り戻しているとのことでした。
(*一部密入国者の感染が発覚したケースがあります)
現在ラオスへの入国は許可制となっており、事前にラオス外務省COVID19(新型コロナウイルス感染症)特別対策委員会の審査を受け、許可を得る必要があります。ラオスへの戻りを検討するにあたって、さまざまな項目について情報収集を行い、クリアしたうえで、渡航準備を行いました。
PCR検査
現在、ラオス入国にはPCR検査を受け、陰性証明書を取得することが義務付けられています。私も予約を取り、PCR検査を受けました。病院につくと、15人ほどが渡航用PCR検査を待っていました。名前を呼ばれ検査室の椅子に座ると完全防護服の職員の方が見たこともない長い綿棒を取り出しました。長い綿棒は容赦なく鼻に入れられ、痛みなどものともせず、ぐりぐり、と粘膜の細胞が採取され、検査終了となりました。検査後も鼻の違和感と、なんだかよくわからないけど大変な目にあった、との気持ちが残りましたが、医療従事者の方々に感謝して終了となりました。翌日晴れて陰性証明書を手にし、出発準備が整いました。
出発
空港に着くと、人は数えられるほどしかおらず、チェックイン時の渡航先入国必要書類の確認に時間がかかりましたが、その後はすぐにセキュリティチェック、出国審査を終えました。空港内部では9割ほどのお店が閉まっていました。
私の搭乗便は、全部で20名くらいしか乗客はおらず、こんなに空いている飛行機に乗ることはもう一生ないだろうというくらいガラガラでした。機内でも約3分で空気がすべて入れ替わる仕様になっているなど、対策がとられていましたが、密になる心配はなかったようです。乗り継ぎ地で一泊後、無事ビエンチャンに到着しました。乗り継ぎの空港でも、お店はほぼすべて閉まっており、世の中が様変わりしてしまったというのをこれまででいちばん感じたような気がします。
ビエンチャンでは入国審査前にコロナウィルス陰性証明書を提出し、予約してある政府指定の隔離用ホテルの名前を聞かれ、ラオス語の書類を渡されました。入国許可書類を提出し入国審査が済むと、PCR検査ブースで検査を受けました。マスクをしているのになぜか微笑んでいることが伝わってくる係の人が長い綿棒を取り出しました。鼻…と身を固くしていたところ、「マウス」とささやくように告げられ、喉から粘膜が採取されました。でも、うすうす気づいてはいたけれど、よく見ると、もう一本綿棒を手にしているようです。やはり鼻の検査は避けられませんでしたが、今回の綿棒はするすると鼻の奥へと入っていき、特に痛みを感じることなく検査が終了しました。ラオスの綿棒は細かったのか、鼻のコンディションがよかったのでしょうか?
ビエンチャンの空港からホテルまでは、政府指定のバスを利用することになっています。バスには20名ほどの人が乗っていたでしょうか。みんな同じホテルなのかな? と思っていたら、別のホテルで何人かが下車しました。その後、「ビエンチャンってこんなに広かったっけ・・・? 」と思うほど、街をぐるぐる周り、最終ストップで予約していたホテルに到着しました。
ホテルでは、1日2回の検温が義務付けられ、食事はルームサービスを部屋の外の机に置いてくれるシステムになっていました。部屋には誰も入れてはならず、掃除は必要であれば器具を借りることができます。2週間の隔離のうち、1週間はあっという間にすぎていきましたが、2週目は、疲れが出てきました。「あと少し・・・外に出たい・・・」と思っているうちに隔離が解け、外の世界に戻ったのでした。
約7カ月ぶりに会った同僚たちは相変わらずゆったり構えていて、抜けているところもありつつ、やることはやってくれる頼もしい存在です。
コロナによる一時帰国から1年、思えばバタバタ続き、業務にも慣れないなか、ひたすら駆け抜けた1年だったなと思います。ラオスではコロナウィルスの影響は表面的にはほとんどないように見えますが、観光による収入がなくなり、国からの補償もなく、経済的打撃は大きいといわれています。私たちの事業対象村でも、タイなどへの出稼ぎによる収入がなくなるなど、影響があるようです。コロナによる休校にくわえ、10月に事業地で発生した大規模な洪水による休校の影響もあり、子どもたちの学習にも悪影響が出ていることが調査で確認されています。まだまだ通常どおりとはいきませんが、子どもたちの学びをサポートするため、現地チーム一同がんばっていきたいと思います。
関連リンク
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この記事を書いた人
- 上智大学比較文化学部卒業(国際政治学専攻)。編集者として勤務後、サセックス大学大学院にて教育と開発を学ぶ。インド・カシミール地方山のてっぺんの辺境の村で教育と公平性についてフィールドワークを行い、村の人々の「子どもに少しでもよい教育を受けさせたい」という切実な思いと、それが叶わない現状を目の当たりにする。その後約5年半のインドでの教育支援分野での勤務(国連教育科学文化機関(UNESCO)、日本領事館、国連児童基金(UNICEF))を経て、2019年8月、高校生時代にボランティアとして働いたワールド・ビジョン・ジャパン入団。2019年11月末よりラオス駐在。
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