【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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[世界難民の日]に寄せて:南スーダン -最前線で働く同僚との別れ

先日、南スーダンの現場からの突然の知らせに驚いた。

南スーダンでこれまで10年近く働いてきたウガンダ出身のエンジニアの同僚、ポール・オットーが今月7月末で仕事を終え、故郷に戻る。私は、2007年から2010年の3年間、アッパーナイル州でポールと一緒に働く機会に恵まれ、彼の誠実・謙虚な人柄、仕事ぶりから学び、また励まされてきた。

ワールド・ビジョン・ジャパンが設置した浄水装置の使い方を見せるポール・オットー

ワールド・ビジョン・ジャパンが設置した浄水装置の使い方を見せるポール

以前、彼に聞いたことがある。

「治安が不安定な現場で、故郷を追われて避難している人々、弱い立場にある人々や子どもたちに寄り添って、長い間働き続ける原動力は何?」

彼は、私の目を見つめて静かに言った。

「僕は、避難民キャンプで育ったんだ。(故郷の)ウガンダで反政府武装勢力を逃れてたどり着いたのが、ウガンダ北部でワールド・ビジョンが支援していたキャンプだったんだ」

きっと、その時の経験が、ポールの原動力なのだろう。故郷を追われた人々の気持ちが痛いほど分かり、他人事と思えないのだろう。

地域の人自らが水を管理できるよう、管理委員会を組織したポール。写真は、研修を終えた参加者と講師を務めたポール(写真後列右から4人目)

地域の人自らが水を管理できるよう、管理委員会を組織したポール。写真は、研修を終えた参加者と講師を務めたポール(写真後列右から4人目)

2013年12月に南スーダンで武力衝突が発生して以降、私たち日本人スタッフは、首都ジュバに駐在することも、ワールド・ビジョン・ジャパンの事業地がある西エクアトリア州に入ることも許されていない状況にある。私たちは、助成をいただいている外務省の指示で、邦人の安全管理の面から首都ジュバへの出張ベースでの業務が認められているだけだ。

正直なところ、日本人スタッフが現場に入り事業管理ができないというフラストレーションで、心が折れそうになることもある。しかし、そんな時はポールを思い出し、ポールに倣って、今後も弱い立場にある人びと、子どもたちに寄り添って働き続けていきたい。

■伊藤スタッフが従事する南スーダン難民支援事業について、詳しくはこちら

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6月20日は世界難民の日。
約5,950万人もの人々が、紛争や迫害により故郷を追われ、厳しい環境で生きています。
今、彼らのことを知ってください。
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この記事を書いた人

伊藤真理支援事業第1部 人道・開発事業第3課 課長
大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
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