私は今年4月中旬より、特別非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンのプログラム・オフィサーとして西アフリカのリベリア共和国グランド・ケープ・マウント州(地図参照のこと)において緊急食糧復興支援プロジェクトの調整に携わっています。今回は、このプロジェクトについて少しお話したいと思います。
このプロジェクトは、支援者の方々の募金をはじめ、国連世界食糧計画(World Food Programme: 以下WFP)、ジャパン・プラットフォーム(注1)の支援を受けて実施しています。
リベリアでは、昨年に和平合意が締結されるまでの14年にわたって続いた内戦によって発生した難民や国内避難民等が、ようやく訪れた平和とともに故郷への帰還を始めています。私が従事しているプロジェクトでは、地域の15,000世帯を対象に、内戦の結果、劣悪な状況に陥った食糧事情の改善を目的として、5,000世帯に種籾を、10,000世帯にキャッサバ(注2)の種子を、15,000世帯に農具(除草用などの山刀、鎌、斧、農具の研ぎ器)の支援を行ないます。また、プロジェクト受益者の当座の生活を補うために、WFPより供与された食糧(小麦、豆類、食用油)を配布します。ただしこの食糧は単に無料で配布されるものではなく、受益者自身が内戦により疲弊した灌漑水路の整備、水田の畦、圃場の修復・整備に従事する労働の対価として配布されるものです。このような食糧配布はフード・フォー・ワーク(Food For Work)と呼ばれ、地域の復興と食糧事情の改善に役立っています。
次回より、事業の近況やリベリアでの生活について紹介していきたいと思います。
注1) 日本NGO、経済界、政府が対等なパートナーシップの下、三者一体となり、それぞれの特性・資源を生かし協力・連携して、難民発生時・自然災害時の緊急援助をより効率的かつ迅速におこなうために設立された国際人道支援機関。
注2) トウダイグサ科の熱帯低木。サツマイモに似た塊根がなる。アフリカの多くの国で主食として食べられている。
この記事を書いた人
- 大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
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