2015年ももうすぐ終わり。
今年は、開発援助に携わる私たちにとっては、途上国の様々な課題についての取り組み目標を定めた国連ミレニアム開発目標(MDGs)の最終年。その成果と課題をふりかえり、次なる目標を設定した持続可能な開発目標(SDGs)が採択される記念すべき年となりました。
新しい目標であるSDGsは、MDGsで未達成であった目標も含め、「誰も取り残さない(Leave no one behind)」をテーマとして掲げています。
この取り残されやすい人々にしばしば含まれるのが、障がいを持つ子どもや大人たちです。
12月3日は国連の定めた国際障がい者デーですが、今年のテーマは『インクルージョンの重視:障がいのあるなしにかかわらず、すべての人にアクセスとエンパワメントを![筆者訳](Inclusion matters: access and empowerment of people of all abilities)』であると発表されました。
「家族やコミュニティの中での子どもたち、特に最も脆弱な子どもたちの持続される健やかな成長」を目指して活動をするワールド・ビジョンでは、障がいを持つ子どもたちが取り残されることがないよう、すべての人が参加を保障されるよう(インクルージョン)配慮をしつつ事業を行っています。
障がいを持つ子どもたちは、教育や保健、医療などのサービスの単なる受益者としてではなく、それらにアクセスする権利の主体であること、さらにはそれが保障されるよう社会を変えていくための力(エンパワメント)を持つ当事者であることを気づかせてくれるのが、インドのロヒットくん(14歳)です。脊柱側彎症(せきついそくわんしょう)により、身長が伸びず、体重も増えない、体力が弱く、たくさん歩くことができないといったチャレンジに加えて、地域の人たちの差別や偏見にも直面している彼は以下のように語っています。
「みんな、ぼくの姿を見ただけで、ぼくは何もできないって烙印を押す。ぼくのことを知ろうともしないくせに。ぼくと同世代の子どもたちも『けがをさせてはいけないから。それにたいした役割もできないから』とぼくを遊び仲間に加えてくれない」
「障がいを持つ子どもたちが意味のある人生を送ることができない、という偏見を打ち破りたくて、ぼくは学校に通っている。社会はぼくに期待をしていないかもしれないけれど、ぼくはぼく自身に期待をしている」
「ワールド・ビジョンを通して、障がいを持つ子どもたちの集まりに参加することができたんだ。そこで以前、聞いたこともなかった、ぼくたちの基本的権利について知った。障がいを持つほかの子どもたちともそこで交流することができた。何かと戦っているときに同じような境遇の仲間がいるって知ることはとっても力になる。ぼくも何か大きなものに属しているっていう気持ちになった。子どもクラブに参加して、友達もできた」
「ぼくの夢はパイロットか銀行員になること。その目標を達成するために、ぼくは学んでいる。ぼくの祈りは、目標を達成して、両親がぼくのことを誇りに思ってくれること。そばにいて支えてくれる家族がいるぼくは本当に恵まれていると思う。夢を実現するための力をくださいって、いつも神様にお祈りしているんだ」
ロヒットくんをはじめ障がいがある子にもない子にも、夢を持って生きる、そしてそれを実現する力を与えるために、皆さまのご支援をお願いいたします。
⇒ロヒットくんのように障がいを持ちながら夢を持って生きるほかの子どもたちのストーリー(英文のみ)を読む。
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この記事を書いた人
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国立フィリピン大学社会福祉・地域開発学部大学院留学。
明治学院大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻博士前期課程修了。
社会福祉専門学校の教員を経て、2000年1月より社団法人日本キリスト教海外医療協力会のダッカ事務所代表としてバングラデシュへ3年間派遣。
2004年12月から2007年3月までは国際協力機構(JICA)のインド事務所企画調査員。
2007年9月から2年半は、国際協力機構(JICA)のキルギス共和国障害者の社会進出促進プロジェクトで専門家として従事。
2010年9月、ワールド・ビジョン・ジャパン入団。
支援事業部 開発事業第2課 プログラム・オフィサー。
2020年3月、退団。
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