私たちは支援事業を通して貧しい人々に何かを与えていると思っていますが、実は多くのことを与えられています。
このことは私たちの活動を行う上での原点となる視点です。
タイで出会ったアン(12歳)はHIV/エイズで両親を失い、残された姉弟3人はおばあさんの家に引き取られ一緒に暮らしていました。
彼女自身も母子感染していますが、発症はしていません。
アンはワールド・ビジョンのスタッフから配られる薬を二人の弟たちに飲ませる役目を一生懸命に果たし、困難の中にあっても嬉々として弟たちの面倒を見ていました。
この出会いを通して私は、逆境に負けずに生きる小さな彼女の強さ、明るさ、やさしさに感動を覚えました。
同時に両親を失った辛さ、寂しさ、病気故の不安、悔しさもアンは話してくれ、その傷の深さに心が痛みました。
彼女から家族や地域の中で支援事業を行うことが有効で大切であることなど、支援のあり方についても学ばされました。子どもたちの思いと視点を忘れてはならない、さらには子どもたちには大きな可能性があることを深く教えられた経験でした。
この記事を書いた人
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大学卒業後、三井住友海上火災保険株式会社(旧大正海上火災)入社。1982年同社を退職し、キリスト者学生会(KGK)の関東地区主事となる。海外との文化交流事業、日本人学生の海外派遣事業、在日留学生の支援事業等も行う。フィリピンにおける2カ月間の研修および中国、タイ、インド、インドネシア等の視察を行う。
1992年同会を退会し、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン入団、2000年から2017年まで事務局長。2017年4月から常務執行役員、常務理事などを歴任。2023年10月より現職。
その他の役職: 社会福祉法人キングス・ガーデン東京 理事長
公益財団法人国際開発救援財団 理事
福音主義医療関係者協議会 顧問
1999年イギリス マンチェスター大学大学院IDPMにて「社会開発」と「NGOマネージメント」を学ぶ。
2020年 立教大学大学院キリスト教学研究科修了(神学修士)
共著:「連続講義 国際協力NGO」(日本評論社)、「国際NGO が世界を変える」(東信堂)
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