入団して2ヶ月という月日が流れました。
少しずつではありますが、新しい環境になじんできました。
東京の満員電車に慣れるまでにはまだ時間がかかりそうですが。
私は、支援事業部の緊急人道支援・グラント事業課というところで働いています。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、チャイルド・スポンサーシップのイメージが強いのですが、緊急人道支援活動は、それとは別に募っている皆さまからの募金によって主に活動を行っています。
緊急人道支援は、主に紛争地や被災地にて行われるため、常に危険と隣り合わせでもあります。
したがって、危険をできるだけ避け、万が一何か起こっても自分の身を守る方法を心得ていなければなりません。
私は、まだこのような状況での勤務経験が少ないため、先日行われたUNHCR主催のセキュリティ研修に参加してきました。
今回はこの研修で感じたことをシェアしたいと思います。
地雷の一部が地面から見えているのを発見したら…
研修の内容は、
・路上で銃撃戦にあったときの対処法
・車で移動中に銃撃戦にあったときの対処法
・地雷を見つけたときの行動
・人質の被害にあったら
・群衆に取り囲まれた時の対処法
などなど、実践的なものばかりでした。
今までに銃撃戦などにあったことなどないので、数々のショッキングな映像を見たり、ほふく前進の練習(!)をしていると、ニュースの中でしか見たことのない世界がほんの少しだけ近づいたような変な感覚になりました。
突然ですが、問題です!
あなたは道を歩いていると、地雷の一部が地面から見えているのを発見しました。さて、あなたならどうしますか?
1. なるべく地面を踏まないように、大股で歩き、その場からできるだけ離れる
2. 足跡をたどって来た道を引き返す
3. 助けが来るまでいつまでも待ち続ける
・・・
正解は、「3. 助けが来るまでいつまでも待ち続ける.」です!
地雷が近くにあるとわかったときの鉄則は「動くな」です。
一歩でも動くと地雷が作動し、大けがをしたり、最悪の場合命を失うことになります。
また、自分の足跡を完璧にたどることは困難ですし、一度踏んだ時に作動しなかった地雷を踏むことで被害にあうこともあるそうです。
ですから、地雷を撤去する専門の部隊に連絡をし、その助けが来るまで何十時間でも待ち続けるしかないのです。
このような話を聞いたとき、たった一つの地雷が人々の生活に及ぼす影響は計り知れないな、と感じました。
地雷が見つかると、そこの周辺は立ち入り禁止になり生活の場が失われます。
また、何気なく歩いている道に地雷があるかもしれない、という恐怖に常にさらされることになります。
地雷原周辺の子どもたちにとって、それが「日常」になってきているのかもしれませんが。
危険と隣り合わせの生活。
もちろん地雷はほんの一例で、飢え、病気、人身取引など、子どもたちの生活には様々な「危険」が存在します。
子どもたちが本当に安心して暮らせる社会は、いつになったら実現できるのでしょうか。
答えは誰にもわかりませんが、「何もかもはできなくても、何かはきっとできる」という言葉を胸に、少しでも安心して暮らしていけるような社会の実現に向けて、今できることを一つ一つやっていこうと思わされた一日でした。
この記事を書いた人
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【経歴】
2010年、北海道大学法学部卒業。
2012年1月、英国のエセックス大学大学院(人権理論実践学)修了。在学中は札幌のNPO法人やガーナ、バングラデシュの人権関連NGOにてボランティア、インターンを経験。
2012年1月ワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部緊急人道支援課 プログラム・オフィサー。2014年8月より10カ月間、南スーダン難民支援事業担当駐在員としてエチオピア駐在。
【趣味】
音楽鑑賞、歌うこと、卓球
【好きな言葉】
ある舟は東に進み、またほかの舟は同じ風で西に進む。ゆくべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方である(『運命の風』E.W.ウィルコックス)
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