【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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私と「29」と未来ドラフト

こんにちは、マーケティング第1部コミュニケーション課の加藤早紀です。
今年(2021年)5月に異動し、「未来ドラフト」を担当することになりました。

ケニア出張で訪れた小学校の児童たちと筆者

ケニア出張で訪れた小学校の児童たちと筆者

未来ドラフトって?

「未来ドラフト」は、日本初の「若い世代と一緒にともに難民問題に取組むアイデア・コンペティション」です。2018年に始まり、今年で4回目です。

2018年のプレスリリースはこちら
「未来ドラフト」生みの親、堂道スタッフのブログはこちら

過去3回で約500のアイデアが集まり、グランプリアイデアは実現、もしくは実現を検討しています。2018年大会・2019年大会のグランプリアイデアは、グランプリ受賞チームのメンバーが実際にウガンダのビディビディ難民居住地に渡航し、難民の子どもたちに支援として届けられました。

2018年アイデア実現報告はこちら
2019年アイデア実現報告はこちら

未来ドラフト2018決勝大会の様子。グランプリを獲得したBidiBidi Caravanは実際にビディビディ難民居住地に渡航し、アイデアを実現しました

未来ドラフト2018決勝大会の様子。グランプリを獲得したBidiBidi Caravanは実際にビディビディ難民居住地に渡航し、アイデアを実現しました

「29」

さて、「29」とは何の数字でしょう?
素数? 「ニク」の日? アラサー?
どちらも正解ですが、29は未来ドラフトにアイデアを応募できる最後の年齢です。

未来ドラフトでは若い世代の皆さん(以下、ワカモノ と呼ばせていただきます)と難民の子どもたちについて考えたい、という思いから、参加資格を29歳以下の方としています。

実は、かくいう私も現在29歳。25歳でWVJに入団し、入団とほぼ同時に始まった未来ドラフトを29歳という、ワカモノ最後の年に担当することになりました。
そんな私は、小学6年生の時から「29歳」に思い入れがあります。

カジュアルな切り口で国際的な課題に目を向けてほしい、と始めた国旗ネイル。駐在員のいる国や出張先の国旗を選びました

カジュアルな切り口で国際的な課題に目を向けてほしい、と始めた国旗ネイル。駐在員のいる国や出張先の国旗を選びました

あるUNHCR職員の死

2003年11月にベティーナ・ゴアラールさんという、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の女性職員がアフガニスタンで殉職されました。
その頃、私は小学6年生。年明けに迎える中学受験の勉強に必死に取り組んでいました。

当時の私は、小学2年生の時にNHKで旧ユーゴスラビア難民のドキュメンタリーを見たこと、幼少期を過ごしたニューヨークを襲った9.11(アメリカ同時多発テロ事件)がきっかけで、「将来は国際協力に携わる人になりたい、故郷を逃れた難民の方たちのために働きたい」と思っていました。中学受験の志望校(後の母校、恵泉女学園)は、3本柱の1つに「国際」を掲げていることに惹かれていました。そのため、ニュースで見る「国連」「ユニセフ」「UNHCR」「アフガニスタン」という言葉にとても敏感になっていた時期でもありました。

そんな私にとってベティーナさんの死の衝撃は大きく、”service and sacrifice(奉仕と犠牲)”というテーマについてしばらく考えさせられることになりました。(後に進学した東京女子大学の学章が、 Service and Sacrifice の精神を重んじる意味でS の字を2つ重ねたものであると知ったときは驚きました!)

“service and sacrifice”に対する解を得られないまま恵泉女学園に進学した私ですが、中高6年間の「聖書の学び」や様々な経験を通じて自分なりの解を見つけることができました。さらに大学での学び・民間企業の経験を経て、ワールド・ビジョンで働く今に至りました。

私と29歳

私は2月の誕生日で29歳になりました。11歳の時にベティーナさんの死を目の当たりにして以来、私にとって29歳というものはとても恐ろしく、その後の未来を思い描けない年齢でした。

また、今でも強く心に残っている旧ユーゴスラビア難民のドキュメンタリーでは、当時の私と同い年くらいの子どもが多く映されていました。「どうして生まれる場所が違うだけでこの子たちはこんな苦労を強いられているの?」と衝撃を受けたことが忘れられません。彼女/ 彼らもおそらく現在30歳前後。彼女/ 彼らの目に昨今の難民問題はどのように映っているのだろう。子どもの時と比べて希望が持てるものになっているのだろうか?と思いを馳せ続けています。

非常に残念なことに、シリア危機など昨今の様々な影響を受け、生きるために故郷を逃れた難民/ 国内避難民の人数は年々増加傾向にあります。そんな今だからこそ、私は「未来ドラフト」が意義あるものだと思っています。

「”何もかも”はできなくとも、”何か”はきっとできる」(ワールド・ビジョン創設者、ボブピアスの言葉)という想い。ひとりでも多くの方に難民問題に目を向けていただいて私たちの世代で明るい未来を築きたい! という想いで「未来ドラフト」を担当しています。

こういったことを申し上げると難民問題は「意識高い系」の人が考える課題、と思われてしまうかもしれませんが、私も普通の29歳です。学生時代は部活に打ち込み、ダンスが大好きで、季節を問わずかき氷を食べている。夜中にラーメンを食べたらちょっと罪悪感を感じる…。

かき氷を手に、笑顔の筆者

かき氷を手に、笑顔の筆者

難民問題は敷居が高いものではなく、誰でも考えることができる、誰でもなにかの形で難民/ 国内避難民を救うことができる、ということを併せてお伝えしたいです。

私に大きな影響を残したベティーナさんに「どうぞ見守っていてください」とお祈りしつつ、ひとりでも多くの日本のワカモノに故郷を逃れた人々に関心を持っていただき、一人でも多くの難民/ 国内避難民の方のお心に平安が訪れ、1日も早く誰一人として取り残されずに世界中に平和な日々が訪れますように、と願ってやみません。

マーケティング第1部 コミュニケーション課
加藤早紀


未来ドラフト2021

「未来ドラフト2021」は「世界難民の日」の6月20日に開幕、アイデアを募集中です!
詳細はこちら(応募締切:2021年8月15日)

 


加藤スタッフの過去のブログ:
クリスチャンではない私が感じる、ワールド・ビジョンの「キリスト教精神」
「支援地」はどこにあるの?

この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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