【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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あるNGO職員の家族の肖像

NGO職員に対する一般的なイメージの1つは、途上国の人々のために無給か薄給で活動する若者達というものではないだろうか?
つまりNGO職員というイメージの中に、海外で厳しい生活を送ることは想像出来ても、通常の日本での生活の臭いを感ずる人々は少ない。閉店間際のスーパーの惣菜を買いあさる職員の絵や家族と休日をのんびり過ごす絵はイメージしがたいのである。しかし当たり前のことであるが、NGO職員も職業人であり、月々の給与で生計を立て、家族を養っているのである。

極めて私的なことで恐縮だが、7月に第4子が誕生した。よく回りの方々からは、“経済的に大変ですね”とか“もう4人目だから赤ちゃんのお世話は慣れてるでしょう”などにコメントを頂いた。経済的な問題は、子どもが多いが故に家族が餓死したとか病死したという類のニュースを昨今の日本では聞いたことがないので、何とかなるどろうと高をくくっている。しかし子どもの世話のことは、慣れてるから良いという問題ではすまない。同じ経験をされた御夫婦はお分かりと思うが、小学校2年生、幼稚園の年中組み、そして、すべからく親の欲するところと真逆な行動を取りたがる、所謂悪魔の2歳を見ながらの新生児の世話は、人生の一大プロジェクトといっても過言ではない。従って、この大事業のために、6月上旬ウズベキスタンの出張から帰国して以来、ずっと海外出張は控えた。次回の出張は9月の下旬になるので、通算約3ヶ月半の間日本にいることになる。考えてみたら1989年にワールド・ビジョン・ジャパンに入ってからこんなに長い期間海外出張に出ずに日本のいたことは始めてであった。別に日本が嫌いではないので、海外の旅愁に暮れることも成田空港を懐かしく思うこともなかった。いやむしろ、4人の子どもの世話に妻と奮闘するのも悪くはなかった。また、連続して一緒にいる時間が長ければ長いほど、子どもたちの性格やら嗜好やらの細かいところが見えてきて大変に面白い。テレビのチャンネル権の争いやら、食事のメニューの決定権等で当然親子喧嘩も多くなる。勢い感情で怒ってしまった時など、親として反省しきりである。

ともあれ一番苦労しエネルギーを使ったのが、7月-8月、子どもたちの夏休みの中の夜だ。学校がないので、朝は寝坊してもお構いなし。当然、連夜の花火や夏休みのテレビ番組で寝るのが遅くなる。11時過ぎになってもまだ3人の子どもたちは布団の上でふざけ回っている。赤ちゃんは2時間置きにお腹をすかせ甲高い泣き声をあげる。半分朦朧とした意識の中、担当の3人を全員寝かしつけた頃は、時計はすでに12時を回っている。やっと片時の静寂の中で眠りについていると夜中の3時、トイレに起きた長女の物音で目が覚めてしまった。私も我慢の限界に来ていたので、長女のトイレの前にボーと立った。自分の用を足した後、ドアを開けると、そこに妻がボーと立っていた。夜中のトイレ渋滞は、冷たいものの摂取量が多いなる夏はよくあることだった。と、妻の後ろを見ると、まだオムツをしている2歳の長男が寝ぼけて同じようにボーと立っていた。私は眠気がすっ飛ぶぐらい抱きしめて布団に運んだ。
今年の夏の家族の肖像である。

カンボジアの家族、自身のスポンサー・チャイルドと感動の面会 (2005年10月)

カンボジアの家族、自身のスポンサー・チャイルドと感動の面会
(2005年10月)

この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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