国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

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南部スーダンより

4月終わりから2か月ほど、南部スーダンに滞在することになった。

浄水装置に水を汲みに来た子どもたち

浄水装置に水を汲みに来た子どもたち

スーダンは、南北での紛争が長期間続き、2011年1月の国民投票で南部が北部から独立することが決定した。南部スーダンの独立は7月9日に予定されている。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、南部スーダンの北側にあるマニョ郡という所で、浄水装置の設置、学校の修復をはじめ、コミュニティの方々へ手洗いや教育の大切さなどを伝えている。
もう私の滞在期間は終わりに近づいているのだが、とりあえず毎日すべてが新しい私のスーダンライフをちょっとご紹介できればと思う。

1.物がない。

東京→ナイロビ→ジュバ→マラカル(地域事務所があるところ)→カカ(実際の活動拠点)と、移動するたびに物やサービスがどんどん少なくなっていくので、最初は少し心細さを感じたが、スーダン到着から2週間もすれば、電気や水が自由に使えない生活やバケツシャワーに嫌でも慣れる。
その代わり、日本にいては見られない物も多く体験できる。
例えば乾季の間は、カカにいると、周りを覆われるように星がたくさん見られる。ある時は流れ星が燃えるように落ちて行ったのをみつけて、時間が経つのも忘れて見入ってしまった。ただし5月の終り、6月頃から雨季へ移っていくにつれて、就寝時間はどんどん早くなり、星などと言っていられなくなる。夜になると蚊や蛇が多く出るし、バケツをひっくり返したような雨が降るととりあえず寝る以外にやり過ごす方法がないからだ。毎回台風レベルの雨が降るので、改めて自然のすごさを思い知る。
ちなみに、カカへ数日赴いた後に、マラカルへ戻って鏡を見た瞬間に、別人のように黒くなっていて、思わず笑ってしまった。
今の私の腕は20代女子のそれというよりは、夏休み終わりの小学生に近い。

2.食べ物

ワールドビジョンの修復した学校の完成を祝う子どもたちと筆者(中央、オレンジTシャツ)

ワールドビジョンの修復した学校の完成を祝う子どもたちと筆者(中央、オレンジTシャツ)

スーダンに来る前に部長から「もずくスープとか春雨スープを持っていくといい」というアドバイスをもらって、スタッフの方にもずくスープをいただいた。食べる事があるのか、実は半信半疑だったのだが、もう秘蔵のスープは残り1袋になってしまった。
(蛇足だが、今私の食べたい物トップ3は1位:沖縄そば、2位:ラーメン、3位:日本そば)
こちらでの食べ物は、どちらかと言えば「シンプル」である。
基本的にパンと肉(鶏、牛肉)もしくは魚。
テラピアは焼き魚にすると非常においしい。ここにきて緑黄色野菜のようなものをあまり食べていないが、市場でもあまり見かけない。たまに市場に出てくる苦菜的な青野菜があると、喜び勇んで買いこんで、少しずつ消費する。
ちなみに市場へ行くと、今どの食材が旬であるかが一目瞭然でわかる。
その食材だけどこでも見つかるからである。
今週はトマトがあったけど来週あるかわからない、というのはなかなか今の日本では起こらない現象かもしれない。

3.牛30頭

雨が降ると道がぬかるんで通れなくなる

雨が降ると道がぬかるんで通れなくなる

マラカルに行くと、アジア人女性の比率は格段に低くなる。
物珍しさもあって、街に出るととりあえずいろんな人に声をかけられる。
先日、換金所の女性に、「牛30頭で私の弟と結婚してくれ」と言われた。
そうか、私の価値は牛30頭か、とちょっと悲しく思っていたら、彼女の民族では10頭が平均だからかなりの奮発だと言われた。彼女と私の牛1頭の価値が、こんなに違うのか、と思わされた瞬間だった。ちなみに彼女はかなり真剣そうだったので、丁寧にお断りした。

短い期間で、毎日が発見の連続なのだが、一番の発見はこの国の力強さだと思う。

スーダンは、長い間争いに耐えてきた。
今辛うじて保たれている「平和」は、彼らにとってまだ新しい存在である。もちろん生活だって厳しい。
食べ物の事で延々書いたが、それでも何かしら口にできるだけ、私は本当に幸せだと身を以て実感する。

でも浄水装置に黙々と水を汲みいれる女性たちを見るとき、
雨でぬかるんだ道を裸足で歩きながら、学校に通う子どもたちを見たとき、
私はこの国の力強さを感じる。

残念ながら独立の日に南部スーダンにいないが、「平和」が日常となる国となるように、子どもたちの笑顔が守られるように、祈らずにはいられない。

この記事を書いた人

國吉美紗
國吉美紗プログラム・オフィサー
イギリス、マンチェスターメトロポリタン大学にて政治学部卒業。
大学在学中にWFP国連世界食糧計画にてインターン。
2010年9月より支援事業部 緊急人道支援課(旧 海外事業部 緊急人道支援課)ジュニア・プログラム・オフィサーとして勤務。2012年9月より、2016年7月までプログラム・オフィサーとして勤務。
趣味:読書、映画鑑賞、ダイビング
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