【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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ウズベキスタンに行ってきました(その2)

男の子を囲んで (後ろ左側から;ソーシャルワーカー、おばあさん、ワールド・ビジョン・ウズベキスタンのスタッフ、私)

男の子を囲んで
(後ろ左側から;ソーシャルワーカー、おばあさん、ワールド・ビジョン・ウズベキスタンのスタッフ、私)

障がい児を預かる施設で、帰り際に出口で衝撃的なシーンを見ました。

おばあさんとおぼしき人とお母さんと思われる人が、3歳くらいでしょうか、男の子を連れてきていました。おそらく、これから預けられようとしているのでしょう。男の子は普通に歩いていましたし、体に大きな不自由があるようには見えませんでした。事態を察しているのでしょう、大きなうるんだ目で母親の顔を見つめつつ、すがるようにさめざめと泣いている姿に、思わず私も涙がでました。おばあさんに背中を押されるように、お母さんはいやがる子どもの手を引いて、施設の扉の中に入っていき、その後しばらくして、おかあさんひとりが出てきました。

ワールド・ビジョンが進めているプロジェクトは、こうした施設に預けられた子どもたちを、ひとりずつ、できる範囲で家族のもとに返していく、というものです。そのために、子どもの障がいの状況を調べ、それぞれにあったリハビリのプログラムをつくり、家族にそれを教え、説得し、必要なら生活保護の制度や申し込みの補助などを行っています。こうして自宅に戻った子どもは、4年間で15人。これを多いとみるか、少ないと考えるかは難しいところです。ただ、先が長いプロジェクトであることだけは確か。戻った子どもたちと家族の生活も、きめ細かくフォローアップしています。担当しているソーシャルワーカーは、15人の子どもがいつ家族のもとに戻ったか、どんな家族構成かを、すべて記憶し、自分の家族のことのように心配し、慈しみ、話していました。

こうして家族のもとに戻った子どもたちの幾人かを家庭訪問してきました。
そのひとりは17歳の男の子。知的障害がありますが、元気で明るい音楽好きの子です。おじいさん、おばあさんの家にひきとられました。両親のところには弟がいて、引き取らないのだそうです。おばあさんは、それはそれは孫のことをかわいがっていて、昨日もバザール(青空市場)に買い物に連れて行ったら、荷物を持ってくれた!と誇らしげでした。でもおばあさんも70歳を超えていて、心臓病の持病もあります。これからがちょっと心配です。

男の子に、「今朝、起きてイチバン最初に何をした?」と質問すると、

「お母さんに電話した。」

という答えが返ってきました。
またまたちょっと、切なくなりました。。。

この記事を書いた人

木内 真理子WVJ理事・事務局長WVJ理事・事務局長
青山学院大学を卒業後、国際協力銀行(JBIC)前身のOECFに入社。途中英国LSE(社会政策学)、オックスフォード大(開発経済学)での修士号取得をはさみ、アフリカ、インドネシア、フィリピンにおいて円借款業務を担当。母になったことを契機に転職。東京大学にて気候変動、環境、貧困など21世紀の課題に対応するSustainability Scienceの研究教育拠点形成に従事。「現場に戻ろう」をキーワードに08年10月よりWVJに勤務。アフリカ、中南米、ウズベキスタンを担当。2011年5月より、東日本緊急復興支援部長。2013年4月より副事務局長。2017年4月より事務局長。2020年4月より現職。東京工業大学非常勤講師、JICA 事業評価外部有識者委員、JANIC理事、日本NPOセンター理事、タケダいのちとくらし再生プログラム助成事業選考委員
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