●日本で育った自分がどれだけ多くのことを学べる環境だったかに改めて気づきました
新学期・新年度がはじまり2週間。新しい環境にドキドキしていた日々が日常に変わり始めた、そんな日々を過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。皆さま如何お過ごしですか。
一般企業から国際協力NGOに転職し、ワールド・ビジョンで21年目の春を迎える堀切です。
これまでの活動の中でアフリカ、アジア、中南米の支援地域の子どもたちの生活を目の当たりにし、”あたりまえ”だと思っていたことがそうでなかったと気づく経験を多くしました。その多くが、学べる環境があってこそ出来るようになること、学ぶ環境がないと出来るようにならないことが多くある、ということです。
●カラフルな絵が描けることは、ふつうのことではなく特別なこと
ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップではご支援者と現地の子どもとのお手紙のやり取りが可能ですが、私のチャイルドから届いた手紙にまるが1つ描かれただけで、正直ガッカリしたことがあります。
しかし学べる環境ということを考えてみると、「ガッカリするのはこちらの事情だ」と気付いた瞬間がありました。日本に住む多くの子どもは1歳くらいになると自然とクレヨンや色鉛筆でお絵かきを始めると思います。でも、それは出来るようになるための整った環境にいるから。
一方、途上国の子どもたちは違っていました。
お絵かきが出来るようになるということ一つをとっても環境が違います。まず、私たちの支援する途上国の多くの子どもたちは描く/書くための道具が身近にある環境ではありません。また、保護者や周りの大人たちも学校に行ったことがない人たちも多く、描くことや書くことは身近ではありません。多色のクレヨンや色鉛筆等も各家庭にあるのではなく、ノートも身近にはありません。そんな環境で育つ子どもたちが描く/書く経験をするのが学校に通えた時です。
それも、学齢になれば皆が学校に通えるといった環境ではないのです。チャイルド・スポンサーシップを通して書く手紙が生まれて初めて描く/書く体験であることも珍しくありません。はてさて「絵を描いたら」と言われても…というところからのスタートになります。
●着の身着のままトラックに乗せられるところからスタートしました
子どもたちが教育を受ける機会を得られない理由はさまざまありますが、物理的に学校がないというような要因の他に保護者の無理解もあります。その両親も学校に通ったことがないため、学校に通う時間を労働に使いたいと思うのです。そんな理由で学校に通えなかった子どもの一人だったケニアに住むジョンさんは、無理やりトラックに乗せられて学校に通うところから始まり医師になりました。
ジョンさんが生まれ育ったのは、ケニアのマサイ族の村。両親は学校に通ったことがなく、近所にも学校に通う子どもは少なかったと言います。
「初めて学校に行った日のことをよく覚えています。10歳のある日、着の身着のままトラックに乗せられ学校に連れて行かれました。両親は抵抗しましたが、政府命令だということで、強制的に連れて行かれました。家族は靴や制服を買うお金もなく、マサイ族の布だけを羽織って裸足で通学していました」
勉強を続けるうちに「新しいことを学ぶのが楽しくなった」というジョンさん。チャイルド・スポンサーシップを通しての支援で、新しい靴と制服が支給され、「本当に嬉しかったです」と語っています。
●思わぬ支援が、子どもたちの「学びたい!」を支えています
タンザニアでは教室を建てるだけでなく、教員住宅を作ることで就学率が85%も改善しました。井戸や給水タンクを設置することにより、学校に持ってくる水を遠くまで汲みに行く必要がなくなり、学校に通いやすくなりました。トイレの支援も重要です。男女が別棟になっていると女の子も安心して利用できます。女の子の場合そうした設備がないことが理由で学校へ行けなくなってしまうこともあります。
また、教育の質を高めることは、学校に通い、卒業するためにとても重要です。質を高める重要なカギは先生が握っています。冒頭にお話ししたタンザニアのケースでは、支援地は遠隔地が多いので赴任を避ける先生が多かったのですが、教員住宅を充実させたところ、いつまでも住み続けたいという先生が出てきたくらいです。その効果で1995年からの約8年間で就学率が5%→90%に上昇し、大学進学できる子どもたちも出てきました。
私たちが手を取り合い、行動を起こせば、世界の「学校に通えない子ども」を減らすことができます。
ワールド・ビジョンは、学校に行くことを阻む様々な困難を抱えながら、勉強したいと願う子どもたちが学校に通い、勉強を続けられるよう支援しています。
この春、ぜひあなたもチャイルド・スポンサーになってみませんか。
マーケティング第1部 新規ファンドレイジング課
堀切 かおり
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【関連ページ】
・ケニアのスラムから京大大学院に進学:夢をかなえた元チャイルドの動画
・「学校に通いたい!」を応援する支援
・チャイルド・スポンサーになる!
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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