自分はネパールの西ドティ地域に暮らす、プリちゃんという10歳の女の子のチャイルド・スポンサーをしている。
支援に何か見返りを求めているわけではないが、毎年届く成長報告は、彼女の生活が垣間見える気がしてうれしい。プリちゃんのスポンサーになったばかりの2013年当時、健康上の理由で学校に通えていなかった彼女が、昨年、9歳で、1年生になったと報告を受け、自分の家族のことのようにうれしかった。
そして2016年、先日、プリちゃんの成長報告が届いた。(今年の成長報告については、同僚のブログ「ちょっとした奇跡~チャイルドの成長報告が届くまで~」がオススメ)今年の成長報告で、彼女が参加した活動項目のひとつに感動した。自分の感動っぷりに自分でも驚くぐらい、感動してしまった。私の中の「感動スイッチ」が押されのだ。
それは「出生届:出生証明書を得て、教育や医療のような政府のサービスを利用できるようになりました」という項目だ。
ワールド・ビジョンは、出生届の重要性を住民に伝えたり、現地のさまざまな機関と協力して子どもたちの出生登録、子どもたちが出生証明書を得られるように活動している。日本でも無戸籍者のニュースなどをご覧になったことがある方はわかっていただけると思うが、出生の届出がないと(戸籍がないと)、教育や医療などのあたりまえのサービスを受けることが困難になる。
ご支援者の皆さまの中には、チャイルドの名前や誕生日が変わったという連絡を事務局から受け取った方もいらっしゃると思うが、これは、無事に出生登録が完了し、正式な名前や誕生日が現地事務所から連絡が届くことがあるためだ。
今回の成長報告を受取り、「プリちゃんの存在が正式に認識された」ということが、彼女の人生にすごい変化を起こすのではないかという期待とともに、小さいながらもその支援に自分が関われたように感じ、心あたたかくなった。
世界では、230万人の子どもたちが出生登録が行われていないため、成長に必要な保健ケアや教育などを受けられず、社会の中で存在を証明する手段を持てずにいる。230万人と聞くと数字が大きすぎて、自分にできることが何もないように思える。
しかし、今年の成長報告を受け取って、数字ではひとりにすぎないチャイルドが、私にとっては、たったひとりではなく、大切なプリちゃんだと気がついた。彼女とのチャイルド・スポンサーシップを通しての関係は、いつか終わってしまうが、自分にとって彼女は一生「大切なひとり」だと思う。
ワールド・ビジョン・ジャパンのチャイルド・スポンサーシップに登録している子どもたちは、およそ6万人。数字では「たくさん」だけど、その一人ひとりが誰かの「大切なひとり」と思うと、日々の仕事をがんばるエネルギーになる。
ワールド・ビジョン・ジャパン 高山時子
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