【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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チャイルド成長報告の変遷

私はスポンサーサービス課の滑川陽子と申します。

2000年8月末からワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)で週2回のアルバイトとして働かせていただいています。若い人が多い職場の中で、今は一番の年長者となり、平均年齢をグッと上げさせていただいております(笑)。

入団当時から主にチャイルドの成長報告を日本のチャイルド・スポンサーの皆さまにお届けする事務処理の場で働いております。長くスポンサーをしてくださっている方々には成長報告が以前と比べてずい分カラフルになり、写真も良くなってきたことを実感していただけると思いますが、今日は成長報告を通して支援の輪が、いかに広がってきたかをお話したいと思います。

私が入団した当時は、地域開発プログラム(以下ADP)がアジア・アフリカ・中南米で29カ所でした。成長報告を作成してチャイルド・スポンサーの方々にお送りするチャイルドの数も約1万6千人でした。今から15年前です。

2014年のプログラム近況報告と成長報告(タンザニア)

2014年のプログラム近況報告と成長報告(タンザニア)

その当時はすべての成長報告がまず日本の事務所に送られてきて、それを事務所ボランティアの方がリストと照らし合わせてチャイルドの名前や内容に漏れがないかなど細かくチェックしてからスポンサーの皆さまに送らせていただいていました。これは大変な作業で、一つのADPから多いところでは1400枚も送られてきます。一枚一枚目を通して、不備の点があると現地に問い合わせ、出来るだけミスのないものをお届けしようと努力してきました。ボランティアの皆さんのお力がなければ到底出来ない作業でした。

成長報告は支援しているチャイルドの様子を知ることが出来る最善のものです。年々身長が伸び、顔つきも子どもらしかったのに、あれっ、こんなおじさん顔に!なんてこともあります。

2014年成長報告に添付されたハワちゃんの写真

2014年成長報告に添付されたハワちゃんの写真

私が個人として支援しているのはタンザニアのンゲレンゲレADPです。このADPは1996年から支援が始まり、20年の支援期間がもうすぐ経過して、今年の9月末で支援終了となる予定です。支援しているチャイルドは女の子でハワちゃんといいます。WVJが支援を開始した1996年に生まれ、今年の8月で19歳になります。私が支援を開始した時はまだ7歳で可愛い女の子でした。

昨年受け取った成長報告ではもうすっかり大人で、親戚のおばさんでしょうか、女の人に髪を結ってもらっている写真が貼ってありました。地域の外に引越しすることもなく、両親も元気で生活しているのですから、ハワちゃんは恵まれているほうだと言えます。チャイルドによってはいろいろな理由で両親と離れて暮らさなければならなかったり、地域の外に家族が仕事を求めるために一緒に行ったりと支援を卒業せざるを得ない子どももいます。その面でとらえれば12年にも渡り成長を見守ることができたのはスポンサーとして幸運だったと言えるかもしれません。

WVJがチャイルド・スポンサーの皆さまにご紹介しているチャイルドはおかげ様で年々増え、2004年には2万人を超え、2007年には3万人台となり、2008年には4万人台、2009年には5万人台、2010年には6万人台になり現在では6万4千人になろうとしています。それに伴い、現在現地で展開しているADPは56カ所にのぼります。15年前の29カ所と比べるとちょうど倍近い数になっています。

成長報告はいくつかのADPを除き、現在では現地から直接チャイルド・スポンサーに送るようになっています。それは年々成長報告の記載ミスも少なくなり、これならば直接スポンサーにお送りしても大丈夫!と判断できるようになったからです。

現地では一人ひとりのチャイルドを訪問し、成長報告の内容にある学校での好きな科目や家庭でのお手伝いの種類などをインタビューして記録していきます。チャイルドはスポンサーあての絵を描いたりします。支援チャイルドの多いADPでは3月頃から準備を始め、7月頃を目標に成長報告を発送するべく頑張っています。日本のスポンサーがどんなに成長報告を待ち望んでいるかを現地スタッフにも伝え、確実にお手元に届くようにしています。

昨年度の新しい試みとして成長報告とともに、支援地域での活動内容をお伝えするプログラムの近況報告を同封することにしました。これは一つには発送に伴う経費を削減することを考慮したためです。また同時に、チャイルドの住む環境を見ていただくことにより、年々その環境が改善されていることを実感していただき、チャイルドの成長と合わせてみていただきたいと思ったからです。いかがだったでしょうか?

プログラム近況報告はWVJの支援事業部の各ADPの担当者が現地を訪問した時に見聞きしたことや、現地のスタッフと緊密に連絡を取りながら実施してきた事柄について、この一年間に特に報告したい出来事を記録したものです。

私が支援しているタンザニアのンゲレンゲレADPの近況報告では「いよいよラストスパートです」と題して支援が終了する準備の様子が記されています。教育・農業・保健衛生・HIV/エイズ対策プロジェクトなど、いずれも添えられている写真のチャイルドの顔つきが明るく、安定した生活が送られているのだろうなと思わされる近況報告です。支援を開始した20年前とは格段の差が感じられます。

実際に終了を迎える際にはチャイルドからのフェアウェルレター(お別れの手紙)と終了報告書がスポンサーに送られてきます。終了後はチャイルドとの交流は無くなりますが、かの地で自分たちの力でしっかりと生きていくであろうチャイルドや家族、地域の人々の姿を思い描いて、チャイルドのその後が幸せなものになるよう祈っていこうと思います。

ンゲレンゲレ地域の小学校の子どもたち

ンゲレンゲレ地域の小学校の子どもたち

WVJで働かせていただいて感じることは、生まれてきた環境でこんなにも人生が違うということです。誰も自分がここに生まれたいと思って生まれてきた人はいません。私がこの時代、この日本という平和で豊かな社会に生まれてきたがゆえに、満足な食事をとり、教育を受けられ、自分の夢を具体的に語れる生活が出来ました。

スポンサーサービス課のミーティング(左から2人目が筆者)

スポンサーサービス課のミーティング(左から2人目が筆者)

もし、タンザニアのンゲレンゲレに生まれたら本当に違った人生になります。それでもンゲレンゲレではWVJの支援が始まり、20年を経過して落ち着いた生活が出来るようになりました。でも、まだまだ多くの地で、支援の手が入らず、困窮した生活を強いられている人々がたくさんいます。日本に生まれてきた自分に出来ることは何か。支援を続けること、その支援を進めるべく与えられた仕事を力の限りに続けること、それが私にとっての引き続きの使命ととらえて頑張っていきたいと思います。

スポンサーサービス課 滑川陽子

この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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