【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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食糧危機を乗り越える – ウガンダの例

ワールド・ビジョンは、国連食糧計画(WFP)と共同で、アジアやアフリカの食糧危機が深刻な地域で食糧支援事業を行っています。

今回は、私が担当している、ウガンダの中でも特に貧困率が高く(人口の約80%が貧困ライン以下で生活している)、干ばつや食糧価格高騰の影響が深刻なカラモジャ地区における支援の様子をご紹介したいと思います。

ワール・ビジョンのスタッフから植林活動について説明を受けるコミュニティの人々

ワール・ビジョンのスタッフから植林活動について説明を受けるコミュニティの人々

「食糧支援」と聞くと、トラックに積んだ食糧を人々に配布している様子を思い浮かべるかもしれません。

確かに、カラモジャ地区では、特に食糧不足が深刻で緊急に食糧を必要とする人々に食糧を配布していますが、それだけではなく、コミュニティの人々が、今後の干ばつに耐えられるように灌がい設備などのインフラを整備したり、食糧自給率を高めるために畑を耕したりする代わりに、労働の対価として食糧を受け取るという支援を行っています。

このことにより、短期的な食糧のニーズを満たすとともに、長期的にコミュニティの人々が干ばつや食糧価格高騰への「抵抗力」をつけていくことができます。

この支援の特徴は、コミュニティの人々が自主的に事業の実施する役割を担っている点です。

説明を受けた後、実際に植林の練習をします。

説明を受けた後、実際に植林の練習をします。

たとえば、インフラ整備の具体的な内容については、コミュニティの人々自身が決め、コミュニティの人々が実施します。

右の写真は、コミュニティの人々が植林活動についてワールド・ビジョンのスタッフから説明を受けている様 子です。

ここで植林の方法について習った人々は、自分の住んでいる村に帰った後、今度は周りの人にその植林方法について教えていきます。(木の苗はワールド・ビジョンが支給します。)

このように、積極的にコミュニティの人々が事業の計画、実施、監理にかかわっていくことで、コミュニティの人々が、自身の問題について自主的に解決していく能力を身に着けていきます。

植林後の様子。これらの木々が育つことでこの土地の保水力が高まることが期待されます。

植林後の様子。これらの木々が育つことでこの土地の保水力が高まることが期待されます。

ワールド・ビジョンは、このような長期的な視野に基づき、コミュニティに根差した食糧支援活動をウガンダ以外でも行っています。

特に今年は、西アフリカのサヘル地帯での干ばつの影響が深刻であり、ワールド・ビジョンも支援を積極的に行っています。

詳細はこちら

そう遠くない未来に、アフリカの子どもたちが一食も食べられずに一日を終えることがなくなることを願いつつ、地域の人々とワールド・ビジョンの取り組みは続きます。

この記事を書いた人

村松良介支援事業部 緊急人道支援課 プログラム・オフィサー
【経歴】
2010年、北海道大学法学部卒業。
2012年1月、英国のエセックス大学大学院(人権理論実践学)修了。在学中は札幌のNPO法人やガーナ、バングラデシュの人権関連NGOにてボランティア、インターンを経験。
2012年1月ワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部緊急人道支援課 プログラム・オフィサー。2014年8月より10カ月間、南スーダン難民支援事業担当駐在員としてエチオピア駐在。

【趣味】
音楽鑑賞、歌うこと、卓球

【好きな言葉】
ある舟は東に進み、またほかの舟は同じ風で西に進む。ゆくべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方である(『運命の風』E.W.ウィルコックス)
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