チャイルドの成長を感じられる3つ目の材料は、チャイルドからの手紙です。
多くのスポンサーの皆さんは、チャイルドとの手紙のやり取りを楽しみにしておられると思います。しかし、チャイルドの手紙は時には、その内容が毎回同じようなものであったり、前回の自分の手紙に書いたこととあまり関係ないことを書いてきたりして、ちょっとがっかりすることもあるかもしれません。
しかし、国によっては、前回の絵を描くことと同様に、普段から手紙を書いたりする習慣がなかったり、小学校などでの先生の教え方が、黒板に書くことをひたすら写させたり、丸暗記をさせるような教育を受けていると、なかなか自分で考えて文章を書くというのに慣れていないチャイルドもたくさんいるのではないかと思います。
ちなみに、私が以前バングラデシュに滞在していた時、ある村の家に訪問し、その家の小学生の子どもが勉強しているのを見たことがあります。聞いていると、何やらお経を唱えるようにぶつぶつ話しながら暗記しているようでした。九九でも覚えているのかなーと思っていたら、実は、算数の練習問題の回答をひたすら暗記しているのでした!!
つまり、公式などを覚えてから応用問題を解くのではなく、その応用問題の解答そのものを、解き方からすべて暗記しようとしていたのです。これでは、理解力や応用力がつくはずがありません。まあ、日本でも一昔前まで、先生が黒板に書いたことを一所懸命写していたことを思えば、あまり批判することもできないかもしれませんが・・・。
さて、私のチャイルドの手紙です。
私は決して頻繁に手紙を書く方ではありませんが、それでもワールド・ビジョン・ジャパンから届くチャイルドの誕生日の連絡やチャイルドからのクリスマスカードが届いた時などは、ワールド・ビジョン・ジャパンが準備しているキットを利用して手紙を送っています。私はバングラデシュに滞在したことがあり、ベンガル語もわかりますので、その手紙の内容もさることながら、書かれてある文字の様子からチャイルドの成長を楽しんでいます。
最初の2006年の手紙では、間違いがたくさんあったりして頼りない文字になっています。
しかし、2009年になると、いくつか間違いがあるものの、かなり慣れてきているように見えます。
特にベンガル語は、英語などと違って、文字の上の横線(マッタラといいます)を便箋の横線に合わせて書くものなのですが、
それがきちんとできるようになっていることから、文字の書き方にも成長の跡が見られます。そして、2012年の今年の手紙では、文字の上の線は、便箋に合わせていることによって省略したり、各文字の「はね」などが様になってきており、だんだん大人の文字になってきていることがうかがえます。
このようなことは、手紙を受け取ったその時、その時は、現地語を知っていないとわからないかもしれません。しかし、以前からの手紙を並べて比べてみたら、そのチャイルドの成長がみえてくるのではないでしょうか?
この記事を書いた人
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1983年大阪府立大学農学部農芸化学科卒業後、総合化学メーカーの日産化学工業株式会社の農薬部門で6年間勤務。同社を退職後、1989年11月より3年1カ月間、国際協力事業団(JICA)青年海外協力隊員としてバングラデシュへ派遣され稲作を中心とした農業・農村開発の活動を行う。その後、青年海外協力隊調整員として3年6カ月ネパールに滞在、次いで青年海外協力隊シニア隊員として再度バングラデシュに派遣されモデル農村開発プロジェクト・協力隊グループ派遣のリーダーとして2年3カ月間、農村開発の業務に携わる。
2000年9月より米国フラー神学大学院世界宣教学部(Fuller Theological Seminary, School of World Mission)へ留学、異文化研究学修士(MA in Intercultural Studies)を取得。ワールド・ビジョン・インディアのタミールナドゥ州パラニ地域開発プログラム(Palani Area Development Program) での4カ月間のインターンシップをはさんで、2003年9月より英国サセックス大学大学院に留学、農村開発学修士号を取得する。
2004年12月国際協力機構(JICA)アフガニスタン事務所企画調査員として8カ月間カブール市に滞在。2005年9月よりワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 部長として勤務。
2021年3月退団。
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