4月に入り、入学式・新学期を迎えるシーズンですね。
ワールド・ビジョンで6年間、子どもたちが置かれている現状を取材している山下です。日本では6歳の春に小学校に入学し、みんな揃って学校に行くことが当たり前ですが、私が取材に出かける地域では、学校に行きたくても行けない子どもたちがたくさんいます。
カンボジア北部の村で出会ったセニャンちゃんは、10歳で仕事をしていました。その齢に見えないほど小さな体で、終始悲しそうな表情をした少女でした。セニャンちゃんの仕事は、手漕ぎの舟に乗って魚を捕ること。捕った魚はその日の食事になり、食べる量より多く捕れた日は魚を売ってお金に変えます。でもたくさん捕れる日はたまにしかなく、食べ物がない日は近くの市場でアルバイトをしていました。
「もしも、漁に出なくてもよかったら、何がしたい?」
そう質問すると、少しだけ明るい表情になって、答えてくれました。
「学校に行ってみたい」
生まれてからずっと学校に行ったことがない彼女は、制服を着て学校に行く子どもたちを「素敵だな」と思って眺めていたそうです。「学校に行って、大きくなったらお母さんを助けたい」そんな夢も話してくれました。でも、お母さんに言ったことはないそうです。お母さんが精一杯働いてもどうしようもない現実を、セニャンちゃんは理解していました。だから、自分が学校に行きたい思いを話すと、お母さんに悲しい思いをさせてしまう、そんな風に思って小さな胸に隠していたのかもしれません。
お母さんも真剣な表情で話してくれました。「いい暮らしをしたいなんて思わない。ただ、あの子を学校に通わせてやりたい。あの子が私みたいにならずに、明るい将来を生きられるように」
お母さんも、娘も、お互いを思い合って一生懸命に生きていました。でも、2人で毎日休みなく働いても、生きていくのがやっとの生活でした。
セニャンちゃんのような子どもたちが仕事を辞め、学校に通い、勉強を続けるためには、たくさんの必要なことがあります。今日食べるものや、制服や教科書。モノだけでなく、近くに通える学校があること、授業してくれる先生がいること、そして、お母さんが十分な収入を得て、子どもが働かなくても生活できる基盤があることも必要です。
ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップは、だから「モノを渡す支援ではない」のです。
子どもたちが、自分たちの力で夢をかなえることができるように。チャイルド・スポンサーシップは、時間をかけて、子どもと家族、さらには、その地域全体の貧困問題を解決するための活動を行っています。だから、子どもの未来を変えることができるのです。
この春、新学期と共に、世界の子どもたちが学校に通い、夢をかなえることができる支援をはじめてみませんか?
【ケニアのスラムから京大大学院に進学:夢をかなえた元チャイルドの動画】
マーケティング第1部 新規ファンドレイジング課
山下泉美
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【関連ページ】
・「学校に通いたい!」を応援する支援
・チャイルド・スポンサーになる!
・国情報:カンボジア
【山下スタッフの過去のブログ】
・バングラデシュ スラムの少女 怖いと感じたら生きていけない
・もしもこの子が、私だったら。 ~一人残された少女、キムヤンちゃん~
・世界最貧国のネパール、ヒマラヤ観光の裏に隠された児童労働
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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