最新のトレンドを取り入れたファッションを身にまとって、バカンス気分の外国人観光客で空港や町は賑わっている。それもそのはず。ここは、世界遺産アンコールワットが人を呼ぶ、カンボジア。
アンコールワットがあるシェムリアップは特に、一見すると現地の人よりも外国人のほうが圧倒的に多く、異様な感じがする。しかし、きちんと見ると、たくさんいる。
外国人観光客に一生懸命モノを売る子ども、路上に座り込んでいる幼い兄弟、激しい車道で花を売る子ども、歌をうたっている盲目の子ども。アンコールワットどころではない。
世界の子どもたちの日常を伝える番組撮影のため、2週間ほどカンボジアに滞在した私は、たくさんの子どもたちに出会った。
丸1日いっしょに過ごした子どももいれば、ほんの数時間、数分の子どももいるが、みんな愛おしく、「守ってあげたい」という気持ちが激しく募る。
どんなに厳しい生活を強いられている子どもでも、心は子ども。めったに接することができない外国人との時間に、無邪気にはしゃぐ。
そんな姿がわたしもうれしく、せめてこの時間だけでも、子どもたちにとって楽しい時間となるようあれこれ工夫してみる。
しかし、やはり、そんな行き当たりばったりの工夫では、子どもを幸せにはできない、問題は解決できない。
そのことを、心をえぐるように突きつけられる瞬間がある。それは、子どもやその家族が涙を流すとき。
「幸せにしてあげたいのに、私は年老いているから、もう長くない。私が死んだら、あの子はひとりぼっちになってしまう」と、激しく泣くおばあちゃん。
そのことを、幼いなりに理解している孫。家から1人離れ、ずっと泣いていた。
日本からおみやげで持ってきたシャボン玉では解決できない。いっしょに遊んでも解決できない。励ましのことば?元気づけることば?そのようなことばは、あるのか。あったとしても、解決にはならない。
貧困でどうにもならない現状があるここでは、涙の数だけ、強くなれない。
悲しみであり、悔しさであり、無念な想い。
涙の数だけ、やはり、支援が必要だと、わたしは涙を流した。その涙の数だけもし本当に強くなれているのであれば、わたしは、諦めずに支援を呼びかけ続けたい。
息の長い支援が、地域に変革をもたらすだけでなく、子どもにとって、チャイルド・スポンサーとの繋がりは、一生忘れないような出来事になることを確信している。
泣いている子どもたちがいる、という事実をそのまま受け止め、ほかの理由がごちゃごちゃつくのを待たずに、行動を起こせるような人間でありたい。
ワールド・ビジョン・ジャパン
堂道 有香
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この子を救う 未来を救う
チャイルド・スポンサーになってください。
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堂道スタッフの過去のブログ:「生きていれば、また会える」という嘘
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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