2012年11月よりベトナムの首都ハノイに駐在しています。担当していた事業は、ベトナムの北西部ディエンビエン省にあり、現場を訪問する際は毎回出張をしていました。今回は、ベトナム国内での出張に関する話です。
ディエンビエン省はハノイから約500キロのところに位置しており、通常は国内線の飛行機で移動します。飛行時間は約1時間。ディエンビエン省は山岳地帯で空港のある省都ディエンビエンフーは山に囲まれた盆地になっており、霧が出て飛行機が遅延、欠航することもよくありました。欠航の場合には、車で10時間以上かけて移動したこと何度かあります。
飛行機で省都に着いた後は、借り上げた4WDの車両で事業地に向かいます。郡の中心までは舗装されている道路とはいえ、くねくねとまがった山道をひたすら走っていきます。そこから対象の村に行くためには、舗装されていない道路を更に進みます。
実際の移動も簡単ではないのですが、出張に行く際の手続きがまた大変です。私は外国人スタッフであるため、自分の担当事業地を訪問する際にも、遅くても1週間前には、ディエンビエン省の外務局に私の名前、生年月日、パスポート番号、そして細かい出張日程(出張目的を兼ねる)を毎回送って承認をもらわないといけません。そのため、出張予定は事前にきちんと計画を立てておかねばなりませんでした。そして事業地では何度か警察の方が、確認に見に来ているのに出会いました。ディエンビエン省は特に中国、ラオスと国境を接していることもあり、外国人の訪問には厳しく管理していると言われています。
ベトナムには観光でいらしたことのある方もいらっしゃるかと思います。観光旅行ではそれほど細かいことは要求されませんが、業務となると違ってきます。私たちワールド・ビジョンが実施している事業は、現地政府との協力で行っているものであり、正式にベトナム政府から許可を受けて事業を実施していることからも、ベトナム政府の方針に従う必要があります。
またベトナム国内で飛行機に乗るときには、これは旅行者でも同じですが、ベトナム人なら身分証明書を、外国人の場合はパスポートを空港のチェックインカウンターで提示する必要があります。ベトナム国内でホテルに宿泊する際にも、パスポートの提示が必要で、場合によって宿泊中はホテルがパスポートを預かることもあります。
このように自分の担当事業地域を訪問することも大変でしたが、やはりこの仕事の醍醐味は現場で直接村の人たちやカウンターパートと働くことです。担当していた事業は母子保健事業でしたから、妊婦さんやお母さん、保健センタースタッフと直接会って話し、彼らの抱えている問題に気づいたり、一緒に喜んだりと、ハノイの事務所にいて事業スタッフからの報告を受けるだけではわからない沢山のことを発見し、共感することができました。そして彼らと直接働くこと、この共感が、自分がこの仕事を続けていく原動力となっていると思います。
この記事を書いた人
- 大学院在学中にフィリピン留学をし、ストリートチルドレン保護のNGO活動に参加する。大学院修了後、他NGOにてタイ、ラオス事業を担当し地域開発に関わる。その後モンゴル駐在にてマンホールチルドレン保護事業、リベリア駐在にて帰還民支援事業などに従事する。2011年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 緊急人道支援・グラント事業課 アジアチーム所属。2011年1月~2012年4月まで、ソロモン諸島に駐在。2012年11月から2016年6月まで、ベトナムに駐在。
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