【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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あるNGO職員の面相

私の顔はどちらかと言うと仏頂面に近く明らかに貧相の部類に入る。

したがってナチュラルな顔で初対面の人に好印象を与えることは困難と感じている。これを克服するのには意識をして笑顔をつくることなのだが、四六時中意識してもいられず、もって生まれたものだがこの面相ゆえに少なからず人々に緊張感や不快感を与えてしまい申し訳ないと思う。
しかし、その仏頂面ゆえに得をしていることもあると感じる。
例えば、用心をしているとはいえ海外の出張先で無頼漢や強盗に狙われたりというような被害にはあったことが未だかつてないし、フレンドリーなアジア人に見られて軽くあしらわれたり、いわれの無い不当な扱いを受けることも皆無と言っていい。それはおそらく私の厳つい面相からくるのではないかと勝手に結論付けている。

マサイの人々と

マサイの人々と

さて、中東の方々には申し訳ないが彼らの中に入ると相対的に私の顔もフレンドリーなアジア人の顔になる。中東の人々の間では経済的な結びつきは強いが自国の内政にあまり干渉しない日本政府・日本人は人気があるようだ。
その影響からか、あちらの方から私に近づいてくることが多いと感じる。
近づかれた私の方は、あの独特の濃い面相にある種の違和感なり恐怖感を抱かずにはいられないが、それも時間と共に解けてゆく。
お友達になると結構誠実で優しい方々が多いのに驚く。

サハラ砂漠以南のアフリカでは、人々の肌の色は黒である。
田舎に行く子どもたちから「ムズング」と呼ばれる。これは白人という意味で、日本語の「ガイジン」に相当する言葉だ。ただ、同じ肌の色の人しかを見たことのない田舎の幼い子どもたちにとっては、黒以外の肌の色の人が怖いらしく、近づいて手や頭をなぜようとして幾度となく泣かれた。この場合は幾ら笑顔をつくっても無駄であった。

こんなこともあった。支援地の受益者の家庭を回っている時に、家から出てきた5歳ぐらいの女の子の頭を撫ぜたら「??%~∞!」といわれてプイ横を向かれてしまった。現地のスタッフに尋ねたら「私、ムズングは嫌いなのよ!」と言っていると言われ、幼い子どもとはいえ率直な物言いに恐縮した。

まだアフリカの事業に関わって間もないころ、支援事業によって立てられた小学校を訪問した。
全部で5教室程度の校舎であったが、低学年クラスの授業を見学にいったところ、男の子しか授業に出ていないので、驚いて「何故、女の子は来ないのか?」と現地スタッフに尋ねた。
スタッフは、小声で「いるよ、スカートをはいているのは女の子だ!」と教えてくれた。
サハラ以南の小さな子どもたちのヘアー・スタイルは男女同じで、私には性別の区別がつかなかった。
子どもたちの前で何たる失言であったか。

またアフリカの子どもたちにとっては東洋人切れ長の目は、異様に映るらしく、同行していた日本の方の眼をじっと見つめていた女の子が「あんなに目が小さくて私たちみたいにちゃんと見れるのかしら?」と真面目に先生に尋ねていた。
なるほどごもっともな質問かもしれない。

ウズベキスタンの同僚と

ウズベキスタンの同僚と

先月、スイスのジュネーブで国際会議に出席していた。大きな会議で300名程度の様々な国籍の方々が集っていたが、東洋系の顔の方は圧倒的に少なかった。
知る限りでは日本人の参加者は2名であり、他に日本的な顔立ちの方は数名いたが、日本人かどうか確認できなかった。
会議の合間の休憩時間にコーヒーを飲みながら一息ついていると、いきなり「Are you Kyrgyzstan?」 →あなたはキルギスタン人ですか?と見知らぬ方から尋ねられ驚いた。
どうも人によっては私の顔を中央アジアあたりの方と認識するようだ。
まぁ、どこの国でもいいが笑顔が大事だ。
軽く「チーズ」の口を意識する程度のジェントルな笑顔で今日もがんばろう。

この記事を書いた人

高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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