2014 FIFAワールドカップがドイツの優勝とともに幕を閉じました。今回も様々なドラマがありましたね。
スーパースターの負傷欠場、噛み付き事件、緊迫したPK戦、スーパーゴールやスーパーセーブ。寝不足の日々を過ごした方も多いのではないでしょうか。ワールド・ビジョン・ジャパンのオフィスでも日本戦があった日のみならず、毎日ワールドカップに関する会話があちこちで飛び交っていました。
ここで、今回参戦したアフリカチームを振り返ってみます。
日本の初戦、コートジボワール。
騒動続き、カメルーン。
16強入り、ナイジェリア。
ドイツと引き分け、ガーナ。
強靭なフィジカル、アルジェリア。
感動的な奮闘をみせてくれたこの5カ国ですが、光と影は常に背中合わせに存在する、ということをワールドカップ開幕前にJICA地球ひろばが主催した「ソカ・アフリカ-欧州移籍の夢と現実」という映画の上映会に足を運んで、改めて認識しました。
幼いころから練習を積んでプロ選手にたどり着いた少年が光の中を走る裏では、知られざる、そして許されざる影(不義)がアフリカ地域を覆っている現実。映画で描かれていた内容を、ご紹介したいと思います。
「あなたの子どもは天才プレーヤーだ。必ずお金持ちになって帰ってくる」
これはアフリカで増え続けている悪徳代理人の言葉です。
欧州でサッカー選手になることを夢見る多くの少年とその家族が、この悪徳代理人による【人身取引】の犠牲になっています。今までに犠牲になった少年の数は、およそ15,000人といわれています。
代理人に話を持ちかけられた家族は、所有物をすべて売り、息子に夢を託し、約5000ドル(約50万円)を支払います。そして、少年は欧州へと旅立ちます。
「お金持ちになって、家族を助けるんだ・・・」
しかし空港についた少年は、そこで夢と家族と人生を奪われます。
存在しない架空の約束。代理人との音信不通。
お金がなく、頼れる人がいなく、言葉が分からない少年はそこで飢えとの戦いが始まります。故郷に戻るお金を工面できたとしても、家族に受け入れてもらえないケースが多く居場所を失います。
このような許されざる事が蔓延するアフリカ大陸の各代表チームの選手は、人身取引の犠牲者となった多くの少年たちを心におぼえてプレーしていることでしょう。
中には奇跡的に欧州から助け出され、備えられた才能を発揮する場が与えられ、現在、代表選手としてプレーしている選手もいます。引退後にはこのような人身売買が撲滅されるよう活動している選手も多くいるそうです。
日本を応援する心とは別軸で、この不義が根絶されるよう願いながらワールドカップを観戦していた私です。
この子の夢が、売られませんように。
スポンサーサービス課 手紙・ボランティアチーム 堂道 有香
この記事を書いた人
-
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
このスタッフの最近の記事
- アジア2024年8月13日分離帯の少年~バングラデシュで見つけた希望、そして新たな問い
- 事務局2024年6月28日5年ぶりにボランティア感謝会を開催しました!
- 事務局2024年5月14日分け合う心を育む「梅干しふりかけ弁当」
- 事務局2024年4月5日国際協力に関心がなかった私が、Chosenに参加して感じた3つの気づき