「家族と離れて寂しいけど、ここで勉強できてうれしいです」
20名の女性たちが、自分の家を離れて6カ月の村落出産介助者になるための研修を始めました。20歳前後の(私から見ると)女の子たちが、一生懸命に先生の言うことを復唱したり、先生の質問に手を挙げて答えていました。
現在、ベトナムの北西部ディエンビエン省で行っている「ディエンビエン省における妊産婦・新生児の健康改善事業」は2年目に入り、新しい活動として村落出産介助者養成を行っています。
私たちの事業では、今までにも病院の改修や必要な資機材の供与、医療スタッフへの研修、女性への出産に関する知識の普及などを通して、医療機関での出産を推奨しています。
それでも自宅出産が主流のこの地域では、皆が安全なお産を行えるようになるにはまだまだ時間がかかります。そこでベトナム政府も進めている「村落出産介助者」の育成を私たちの事業でも行うことになりました。
医療機関が遠くていかれない妊婦さんやなんとなく行きにくい、自宅の方が気が楽、という妊婦さんや家族のために、きちんと研修を受け、国が認める出産介助によりより安全なお産を自宅でも行えるようにします。
自宅でのお産の手伝いの他にも産前産後健診を促したり、生まれた子の生育状態を見たり、予防接種を進めたりと、村の中での出産介助者の仕事はたくさんあります。
今回の6カ月研修を受けている20名のうち19名が既婚者でほとんどがまだ幼い子どもがいます。その子どもや家族のいる住み慣れた家を離れての6カ月の研修は、つらいこともあるかと思いますが、冒頭のセリフにあるように、20名全員が目を輝かせて今勉強させてもらえて嬉しいです、と言ってくれました。
研修はまだ始まったばかりです。これからまだまだ大変なことは出てくるかもしれませんが、明るく和気あいあいとした授業風景を見て、とても安心しました。
彼女たちが村落出産介助者になり、地域の中で今よりも少しでも多くの安全なお産が行われることを願います。教室を去るときに、みんなニコニコ顔で手を振ってくれ、我が子の成長を見るような思いで、頑張ってね~、また見に来るからね!と手を振りかえしました。
この記事を書いた人
- 大学院在学中にフィリピン留学をし、ストリートチルドレン保護のNGO活動に参加する。大学院修了後、他NGOにてタイ、ラオス事業を担当し地域開発に関わる。その後モンゴル駐在にてマンホールチルドレン保護事業、リベリア駐在にて帰還民支援事業などに従事する。2011年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 緊急人道支援・グラント事業課 アジアチーム所属。2011年1月~2012年4月まで、ソロモン諸島に駐在。2012年11月から2016年6月まで、ベトナムに駐在。
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