こんにちは。ワールド・ビジョン・ジャパンのヨルダン駐在員の渡邉裕子と申します。シリア国内の事業をヨルダンから遠隔で監理しています。
日本では1月1日に能登半島を中心に大きな地震が発生しましたが、皆さまがお住まいの地域はいかがだったでしょうか。当日はシリアの事業を実施しているワールド・ビジョンのシリア、ヨルダン、トルコの事務所も新年のお休みでしたが、地震発生直後に複数のシリア人の同僚から、「日本で大きな地震があったと聞いたけど、ヒロコの家族や親せきは大丈夫?」というテキスト・メッセージをもらいました。事務所のあるシリア北西部やトルコ南東部は昨年大きな地震に見舞われたということもあり、日本の地震を自分のことのように心配してくれていました。
そんなメッセージを送ってくれた同僚の一人が、メフメットという同僚です。彼はトルコにあるワールド・ビジョン事務所をベースにシリア北央部の支援のために働いています。メフメットとは、昨年から新しいマイルストーン・プロジェクト立ち上げのために一緒に準備を行っています。
マイルストーン・プロジェクトは学校の建設や修復をメインとする事業で、シリアではおととし、昨年とシリア北西部で活動を行ってまいりました。今年は北西部の東側に位置する、シリア北央部での実施を計画しています。
私たちがなぜ北央部で支援を行いたいかというと、人口や国内避難民の数が北西部と比較して少なく、国際社会の注目が集まりにくいために、支援がほとんど届けられていないという現状があるからです。
シリア危機が始まって13年がたち、北央部の子どもたちも暴力や望まない移動(避難)など、心身の健康に影響をおよぼすような大きな困難に日々直面しながら生活しています。子どもたちが通う学校の校舎は破壊されたり劣化したりし、また他の目的に転用されるなどして、子どもたちは満足な教育を受けることができません。そのため子どもたちは、搾取や虐待、武装勢力へのリクルート、児童労働や児童婚などのリスクが付きまといます。
シリア北央部の教育局は教員の給与を支払うことが精一杯で、校舎の管理までは手が回っていません。学校のトイレが修理されて学校でも用が足せるようになれば、教室に壁や窓が再建されて冬に凍えながら授業を聞く必要がなくなれば、もっと多くの子どもたちが学校に通えるようになるかもしれません。
「僕が子どものころは学校に行くのが楽しかったし、将来の夢も希望も持てた。でも今の子どもたちにとって、学校は安全でなくつらいところで、楽しいところではないんだと思う」そうメフメットは言っています。
今回のマイルストーン・プロジェクトの計画を伝えたら、メフメットだけでなく地元教育局の方々も、一様に感謝の気持ちを述べてくださっています。特に国際社会による支援の手がおよんでいない地域ですので、そんな中で日本の皆さまがこの地域の子どもたちのことを想ってくださっているということを知って、とても喜んでくださっています。
希望を見いだすことが難しいような生活を送る中、“私たちは忘れられていない、遠くからでも気にかけてくれている人がいる”と思えるような状況ができれば、シリア北央部の方々の大きな励ましになるのではないかと思います。
皆さまとともに1校でも多くの学校を修復し、シリアの子どもたちにとって学校が楽しい場所となるよう、このプロジェクトにお力を貸していただけたら、幸いです。
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この記事を書いた人
- 大学卒業後、一般企業に勤務。その後大学院に進学し、修了後はNGOからアフガニスタンの国連児童基金(ユニセフ)への出向、在アフガニスタン日本大使館、国際協力機構(JICA)パキスタン事務所等で勤務。2014年11月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。2015年3月からヨルダン駐在。
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