【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

Read Article

リベリア便り(2006年5月)~リベリア事業のスタッフ紹介(1)

「僕はキャタピラー。グレーダーが仕事をする前に道を整える役割だ。」と語ってくれたのは、リベリア事業の重鎮の一人で、事業対象地のテウォー県のフィールド調整員モーゼス・ボトムレーである。

ワールド・ビジョン・ジャパンからの出張者に対して説明をするモーゼス。写真中央

ワールド・ビジョン・ジャパンからの出張者に対して説明をするモーゼス。写真中央

モーゼスとポパ県のフィールド調整員のモモ・カイファは、同僚の水・衛生技術者や土木技術者がコミュニティへ入っていく前に、コミュニティの人たちと何度も会合を持ち、コミュニティの役割と責任、ワールド・ビジョンの役割について十分に理解してもらう。地元の言葉を理解し、コミュニティに泊り込んで、人々を励ます役割も果たしている。

井戸やトイレの設置をする前に、コミュニティが保健衛生と健康の相関関係を理解し、環境を清潔に保つことの大切さに「気づく」ことが大切だ。コミュニティの「気づき」へのお手伝いをしているのは、保健衛生教育調整員のトーマス・モモ以下6人(メメ・ベデル、フローレンス・ロジャース、ファトゥ・ダネ、ローレンス・ムア、ラミン・コノワ、ボイマ・ファーンブレ)のチームである。

トーマス:後列左、ローレンス:前列左、ボイマ:前列右と保健衛生ボランティア

トーマス:後列左、ローレンス:前列左、ボイマ:前列右と保健衛生ボランティア

講習会で、井戸の修理実習

講習会で、井戸の修理実習

このチームが、コミュニティの保健衛生ボランティアに対して保健衛生教育を行なう。訓練を受けたボランティアが、各コミュニティに戻って、コミュニティの住民と計画を立て、清掃デーを設けたり、食器乾燥棚を設けたり、といった活動をする。チームがボランティアを毎週訪問して、活動状況の確認、各種問題への助言や励ましを行なっている。

井戸30本、家族用トイレ300基設置の技術的な助言やモニタリングなどを行なっているのは、モリー・モリス、サミュエル・ダーミン以下5人。

(アルバート・モリス、ジェームズ・クーパー、プリンス・クーパー、ダオ・カマラ、ガリュ・ケモカイ)の水・衛生(WATSAN)チームである。井戸設置プロセスの中で、コミュニティの若者などに対して井戸掘り、井戸暗渠の製作の実地トレーニングを行なっている。また、設置した井戸やトイレを事業終了後もコミュニティが引き続き管理・修繕していくために、各コミュニティの水・衛生委員会に対して講習会を開くのも彼らの役割である

エディとコミュニティの若者が、Goe橋の修復を行なっている模様、赤いシャツを着ているのがエディ

エディとコミュニティの若者が、Goe橋の修復を行なっている模様、赤いシャツを着ているのがエディ

コミュニティと市場を結ぶ橋や小学校修復の技術的な助言やモニタリングを担当しているのは、土木技術者のセイ・ミエンウィピアと土木技術補佐のエディ・ジャレルの土木技術チームである。

橋6ヶ所、4小学校の修復プロセスにおいて、支援コミュニティの職工(大工、左官など)への技術的な助言やコミュニティの若者に対して、橋の修復に必要な技術(大工、左官、スチールを曲げる作業など)の実地トレーニングも行なっている

倉庫で物資の確認をするアビブ

倉庫で物資の確認をするアビブ

井戸、家族用トイレ、橋、小学校の200種類以上もの資機材の管理は、ナタニエル・ウィリアムズ、タディウス・グラスゴー、ジェイムズ・タペ、アビブ・クロマの4人の倉庫管理チームが担当している。

首都モンロビアから運搬した資機材をポパ県、テウォー県にある事業用倉庫で資機材の種類ごとに管理し、水・衛生チームや土木技術チームのリクエストに応じて資機材の出し入れを行なっている。物資の種類毎に、ワールド・ビジョン規定の物資管理書類(ウェイ・ビル、スタック・カード、在庫管理表、物資管理台帳)を整える必要があるため、常に細かい作業を行なっている。フィールドの仕事といえばコミュニティの人々と接する仕事に結びつけてしまいがちであるが、倉庫管理も事業の大黒柱の一つである

運転前の車両チェックをするキアディ

運転前の車両チェックをするキアディ

事業を動かしていく上で欠かせないスタッフは、スタッフや物資を運搬している2人のドライバー(ビアン・ウィファとオーガスティン・キアディ)とフィールドとモンロビアのワールド・ビジョン事務所、フィールドと事業車両間の無線連絡、フィールドでセキュリティ情報を収集する無線オペレーターのダニエル・スミスである。リベリアの道路や橋は14年の内戦中、修復されずに放置されていたり、破壊されたりしたために、舗装道路しか運転できないドライバーでは務まらない骨の折れる仕事である。

時には泥にはまり身動きの取れなくなる時もあり、応援が必要な時に車載用無線機からダニエルに連絡を入れるのだ。

完成したSannor橋をモニタリングするジェレミー

完成したSannor橋をモニタリングするジェレミー

以上25人のフィールド駐在のスタッフを統括するのが、シニア・プログラム・オフィサーのジェレミー・モイワイ・ジュニア-である。フィールド・レベルで他のNGOなどとの調整やネットワーク作り、事業の進捗モニタリングを行なっており、事業スタッフやコミュニティからの信望が非常に厚い。

「自分は農業のバックグラウンドなのに、ジャパン・プラットフォーム第2期事業(水・衛生支援)のプロジェクト・オフィサーに指名された時には、辞退しようと思った。が、その当時の上司より『専門でなくともやりながら覚えられる』と励まされて、仕事に就いた。神さまの恵みのお陰でこれまでやって来られた。」と腰が低い。

この記事を書いた人

伊藤真理支援事業第1部 人道・開発事業第3課 課長
大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
Return Top