【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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世界の子どもの未来のために、僕にしかできないこと

ワールド・ビジョン・ジャパンは、厳しい貧困に生きる子どもたちのことを日本のみなさまに知っていただくため、ドキュメンタリー番組「世界の子どもの未来のために」を制作しています。この番組制作を6年間支えてくださっている菅ディレクターが、世界の子どもたちとの出会いを通して感じた想いをブログにしてくださいました。

ワールド・ビジョン・ジャパン制作テレビ番組「世界の⼦どもの未来のために」
番組ディレクター 菅 学(すがまなぶ)

僕は、2013年からワールド・ビジョンが制作するテレビ番組「世界の子どもの未来のために」の制作に携わっています。6年間で、カンボジアフィリピンタンザニアバングラデシュネパールミャンマーに訪れ、たくさんの子どもたちと出会い、撮影をさせてもらいました。

この番組は、貧困が原因で未来が危ぶまれている子どもたちの生活を追ったドキュメンタリーで、視聴者に子どもたちの現状を伝え、支援の必要があることを知っていただくことを目的としています。そして、知っていただくだけでなく、もう一つの目的としては「テレビを通してチャイルド・スポンサーシップに参加」する人が起こされて欲しい、というのもあります。これらすべてを「番組」という形にするのがディレクターである僕の役割になります。

「世界の⼦どもの未来のために」番組ディレクター 菅さん

もちろんそれは簡単なことではありません。というか、これまで途上国に行ったこともなければ、貧困について真剣に考えることもなかった僕にとっては、試行錯誤の連続でした。このブログでは、僕が実際に出会った子どもたちから何を感じ、どのように撮影を行い、どのようなスタンスでディレクターとして番組制作に取り組んでいるか、少しばかり書き綴ってみたいと思います。少しでもこの想いが伝われば幸いです。

初めての撮影、カンボジアのティーダちゃん
僕が初めてカンボジアに訪れた6年前に遡ります。現地のスタッフの案内でプノンペンにあるスラムへ取材に行きました。都会のスラムの印象は、とにかく衛生面が酷く、悪臭で最初は息もしてられないくらいでした。1日もすれば慣れてしまいましたが。

ここで出会ったのが一人の少女、ティーダちゃん(10歳)でした。僕にとってこの番組で撮影する初めての子ども。顔合わせをした後、すぐに撮影は行わず、リラックスした状態になるまで、少し時間をかけてコミュニケーションをとります。時には子どもたちとサッカーをしたり、かけっこをして遊ぶこともあります。心がほぐれてきたところで、まずインタビューから行います。家族のことや、日々の生活、辛いこと、楽しいこと、将来の夢などを質問します。この時に子ども本人から聞いたストーリーを元にいよいよ日常生活の撮影に入ります。

ティーダちゃんは毎日、きょうだいと一緒に大きなリヤカーを引いて、売れるゴミを拾いに出かけるのが日課でした。ゴミ山や、大通りの脇に落ちているプラスチックなどのゴミを集め、売ってお金にします。そこに僕たちはカメラを持ってついていきます。

辛いはずの現実の中で見せる「笑顔」
10歳の女の子がゴミを拾い、それを売る生活をしているというのはなんと悲しいことだろうと思いました。でも、その時僕は初めて子どもたちの現実を知ることとなります。それは、子どもたちの「笑顔」でした。ティーダちゃんはお母さんをエイズで亡くしたばかりでした。学校にも行かずに働き、ごはんも十分食べられなかったり、僕が見る限りは辛い現実しかないように見えます。でも、笑っているのです。正直、初めは違和感を覚えました。でも、撮影を進めるに連れ、こんなにも辛い状況の中で見せる「笑顔」こそが、この子が持つ将来の「夢」につながる希望なのだと気づきました。

リヤカーを引いて、売るためのゴミを拾いに出かけるティーダちゃん

番組で貧困の中で辛い生活を映し出すだけでなく、最後に「将来の夢」をスケッチブックに書いて思いを叫んでもらうのは、この子が持つ希望と、未来への可能性を視聴者の方にも感じて欲しい、という願いからきています。

2016年夏に出会ったカンボジアのセニャンちゃん(10歳)は物憂げであまり笑わない子でした

「笑顔」が伝えるもの
また、さらに取材と撮影を続ける中で、子どもたちの「笑顔」から伝わる悲しみもあるのではないかと思いました。ティーダちゃんのくしゃっとした笑顔は本当に可愛く、それでいてせつなくて、今も心の中に残っています。だからこそ、ありのままの素顔を写そうと心に決めました。視聴者にもこの想いが伝わることを信じて6年間番組を制作しています。もちろん例外もあります。全く笑わない子どもたちもいました。そこから伝わる深い悲しみは心が痛くなるほどでした。

世界の子どもの未来のために、自分にしか出来ないこと
この6年間、世界中で貧困に苦しむ子どもたちと出会い、出来る限り、現地で感じた想いを日本の視聴者に届くように番組制作を行ってきました。本当は、すべての人に実際に現地に訪れて肌で感じてもらうことが一番だと思いますが、それは不可能なので、この貴重な機会を与えられた僕は、目でみて肌で感じたことを正しく伝え、そして、一人でも多くの人に途上国の子どもたちへの想いを持ってもらうことが仕事であり、使命であると思っています。この先、何人の子どもたちの未来を灯すことができるかは分かりませんが、これからも機会が得られれば、自分にしか出来ないことを、精一杯悩みながらやっていきたいと思っています。

ミャンマーで撮影したキンちゃんをリヤカーに乗せて

今年はミャンマーへ行ってきました。ここにもまた貧困に苦しむ子どもたちがたくさんいました。この投稿を読んでいたただいた方はぜひ番組をご覧になってください。もうご覧になられた方も、違った感覚が得られるかもしれません。そして、チャイルド・スポンサーになってください。世界の子どもの未来のために。

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この記事を書いた人

WVJ事務局
WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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