【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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世界最貧国のネパール、ヒマラヤ観光の裏に隠された児童労働

ワールド・ビジョンでは毎年、世界の子どもたちの厳しい現実を皆さまに知っていただくため、取材を行いテレビ番組を制作している。今年はネパール編制作のため、7月に取材に訪れた。

::: 家族をささえるため、出稼ぎに出た少女 :::

リナちゃんは、ネパール山岳地帯の貧しい村に生まれた。
12歳の時にお父さんが病気になり、首都カトマンズのカーペット工場で働くことになった。
家族を支えるため、妹を学校に行かせるために。

工場では、同じような少女が住み込みで働いている。
2畳ほどの狭い場所に、6人で寝ているという。
1日、15時間労働。休みは、週に半日だけ。

細かいカーペットの模様を手作業で織っていく。
「模様を間違えると、大人に厳しく叱られる」と、悲しそうに話すリナちゃん。
長時間労働の間、一時も気が休まる暇はない。

カーペット工場で働くリナちゃん(15歳)。1日15時間働く

カーペット工場で働くリナちゃん(15歳)。1日15時間働く

::: 3人に1人の子どもが働く現実 :::

ネパールでは3人に1人の子どもが児童労働についているという統計がある。

ヒマラヤ観光に訪れる旅行客が多いカトマンズ。レストランや、ホテルの裏側で、子どもたちが皿洗いや掃除の仕事に就かされている。露店に並ぶ手作りのカーペットや、土産品を作る工場で働く子どもも多い。リナちゃんが作ったカーペットは、海外に売られていく。

外国人向けの大きなホテルが立ち並ぶエリアも、裏通りに出ると、小さな家々がひしめき、そこには子どもが働かざるを得ない貧困に苦しむ家族が住んでいる。

取材チームは、こうした厳しい環境にある子どもを取材するために、裏通りを周り、スラムで聞き取り調査を行った。

「あそこで、男の子が数人働いている」
そんな情報を得て、あるカーペット工場を訪れた時のことだ。
工場の重い扉をノックする。
中からガサガサ音がするが、返事はない。
しばらく待つと、扉が開き、大人の男性が中に案内してくれた。
しかし、子どもらしき姿はない。
ふと窓の外を見ると、小さな笑い声をあげて走り去る男の子たちの姿が見える。
雇い主に強いられ、逃げていったようだった。
対応した男性は言う。「ここで、子どもは働いていない」

こんなことが数件続き、取材チームはなかなか児童労働の現場にたどり着くことが出来なかった。

::: 隠された児童労働 :::

ネパールの法律では、14歳以下の子どもの労働は禁じられている。ここ最近、雇い主への罰則が厳しくなり、彼らは罰を恐れ、子どもたちを人目につかないところに隠して働かせてしまうのだ。

隠された現実は、とても重い。
問題が表に出てくれば、解決への緒を見つけられるかもしれないのに。
児童労働への締め付けが苦しくなることで、ますます問題が隠され、解決が遠のくという悪循環に、心が塞がれる思いがした。

スラムで暮らすアイサリちゃん。貧困の村から首都に出てきたが生活はさらに厳しく

スラムで暮らすアイサリちゃん(9歳)。貧困の村から首都に出てきたが生活はさらに厳しく

::: 何もかもは出来なくとも、“何か” はきっとできる。:::

途上国の国々では、都市部の経済成長とは裏腹に、その恩恵が届かない農村地域との格差が激しくなっている。ネパールも同様だ。しかし、教育を受けていない農村出身の親たちは、都市部で仕事を見つけられず、多くが子どもを学校に行かせられない、働きに出すしかない、という現実に直面する。

ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップは、このような悪循環を断ち切るべく、地域での生活を安定させられるよう支援活動を行っている。子どもたちが、健やかに成長し、未来を夢見て生きることができるように。

【カーペット工場で働くリナちゃんのストーリーはこちら】

マーケティング第1部 新規ファンドレイジング課
山下泉美

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【関連ページ】
チャイルド・スポンサーシップ ー1日あたり150円の支援で子どもたちの未来が変わりますー
国情報:ネパール

【山下スタッフの過去のブログ】
バングラデシュ スラムの少女 怖いと感じたら生きていけない
もしもこの子が、私だったら。 ~一人残された少女、キムヤンちゃん~

この記事を書いた人

WVJ事務局
WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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