【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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あるNGO職員とフィリピンの台風被害、そして子どもたちと家族の復興

フィリピンの被災した家族と後ろが家族の仮設住宅

フィリピンの被災した家族と後ろが家族の仮設住宅

日本時間の11月8日お昼頃、フィリピン中部を直撃したスーパー台風30号は、当地に未曾有の被害をもたらした。その翌日、被災地の状況の映像がテレビ各局のニュースにより配信され、特にレイテ島、タクロバン市の惨状はまさに「壊滅的」という言葉以外思い当たらないレベルの被害ということがわかった。その映像を見た多くの方々が私同様に、2011年3月に東日本を襲った津波の被害状況を重なり合わさっていたのではないだろうか。

フィリピンの支援地域の子どもたち(2012年撮影)

フィリピンの支援地域の子どもたち(2012年撮影)

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、2009年より、今回の台風の直撃を受けたレイテ島のタクロバン市と、サマール島のサンタリタ市の2カ所で地域内の子どもたちの健やかな成長のためにチャイルド・スポンサーシップによる長期的な開発支援事業を展開してきた。

しかしこの台風の被害により、今までの支援の積み上げは崩れ去ってしまった。当面は食糧、水、生活必需品の配布等の緊急人道支援で被災者を支えながら、被災者の長期的ニーズの調査を行う予定である。一方で、そこに住む支援チャイルドたちの安否確認作業は、アクセスの困難さや治安状況などにより遅れていたが、12月11日現在まで、1250名の支援チャイルドの中で、1名の行方不明状態のチャイルド以外の安全が確認できたところまでの報告が来ている。未だにわが子や親の安否確認ができないご家族のことを想うと、東日本大震災の時と同様に胸が締め付けられる思いである。

また、チャイルドを支援してくださっている日本のチャイルド・スポンサーの方々に対して、支援チャイルドの安否確認が遅れ、ご心配おかけしていることに団体として申し訳ない気持ちで一杯である。

こんな時に不謹慎かもしれないが、私自身も昭和41年の秋、関東地方に上陸した台風26号により家族が被災した。小学校3年生の時だった。大きな台風が今晩にも村を直撃するという予報だったので、父が朝から窓枠に木の板を打ち付けてガラスを保護していた。台風は予報通どおり上陸し、村が暴風雨圏に入った真夜中頃、何の心配もなく熟睡していた私は両親に起こされ、暴風雨の中、弟と姉と共に毛布に包められ、懐中電灯の光の中を100メートルほど離れたお隣の家に避難していった。

バングラデシュの支援地の子どもたちと筆者

バングラデシュの支援地の家族と筆者

抜けるような秋晴れとなった翌朝、家族が家に戻ってみると、住み慣れた木造平屋の我が家は20度ほど横に傾いていた。四方の土壁はすべて抜け落ちて木の骨組みだけが残っていた。家の中はめちゃめちゃで家財道具や台所用品が泥の中に埋まっていたが、セメントで固められた五右衛門風呂だけが、土間の奥に悠然と鎮座していた。幸いこの台風の犠牲者は私の家族を含めて村にはいなかった。

しかし、それからの両親の労苦は計り知れない。畑の作物は全滅し当面の収入を絶たれたばかりか、住む家も失ってしまったのである。その後の数日間一家がどこで過ごしたか、私の記憶は定かでないが、とにかく気が付いた時は、台風の被害を免れたブロック作りの牛舎を父が改築してそこに移り住んでいた。そして、そこから毎日元気に学校に通っていた。

私は、当時の自分の状況とフィリピンの被災した子どもたち状況を同一視するつもりはない。被害の甚大さや社会環境が違う。ただ、一つだけ言えることは、子どもは、大人が考える以上の力を秘めているということである。

子どもは傷ついても再生する力を持っている。子どもは明日を生きる力を持っている。子どもは自ら成長する力を持っている。だから、その子どもの力を通してフィリピンの被災した地域の復興を支援して行きたいと思っている。そしてそのために、状況が少し落ち着いてきたら、改めて長期的な視野に立って被災した地域の方々と政府関係者を交えて話し合っていきたいと考えている。

私の家族が被災した後、暫くはご近所や農協そして役場からの支援を受けていたということは中学生になってから親から聞かされた。今回のフィリピンの台風で被災した子どもや家族も外からの支援なしに自力での復興することは困難である。

そのためにワールド・ビジョン・ジャパンではチャイルド・スポンサーシップによって長期的な支援を届けたいと思っている。この支援の中で子どもたちは、その力を発揮し悲しみを乗り越え、元気に学校に通い、心身ともに成長し、家族と地域の復興の担い手と成長していくことを信じている。
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クリスマスまでに、あと約2000人の子どもたちのチャイルド・スポンサーを募集しています!
どうぞ力をかしてください。

フィリピン台風第5報

フィリピン台風第6報
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この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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