【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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微笑みの国の涙

タイは微笑みの国と言われている。とにかくタイの人は微笑みを絶やさない。それは60年に一度といわれる大洪水に見舞われてもそうであった。 11月下旬、私はワールド・ビジョン・タイランド事務所で行われている緊急人道支援活動のスタッフを励まし、日本からの支援の調査・調整のためにバンコク市内、ウタイタニ県、アユタヤ県などの被災地に入っていた。 こんな未曾有の災害にも関わらず、避難所暮らしの方々も、そこでボランティアで働く地域の方々も、よくおしゃべりをし、笑う。

バンコクのカンチャナビセックの大学内の避難所に身を寄せている被災された50代の主婦の方にスタッフの通訳を介してインタビューをした。 彼女の家は平屋で家具や電化製品は浸水で全滅し、寝る場も失ったことから避難所に逃れてきたようだ。

「家を修復して、また家具や電化製品を買い揃えられ日がくるのかわからないわ。」とシリアスな内容だが、私たちに微笑みを絶やさず語ってくれる。大変にお話し好きな方でバンコクの有名国立大学を出た娘さんの事を長々とスタッフに話してくれた。

「娘は大きな企業の地方支社で働いているので、今回の洪水の被害から免れた。本当に良かった。」などと話していたかと思うと積を切ったように彼女の目から涙が溢れていった。愛娘との思いでの詰まった家や家具を思い出したのだろうか、、。

私は心の中で話していた。「そうだよね、やっぱり悲しいよね。泣いても仕方ないけど、涙は出ちゃうよね。」 私とスタッフがぎこちなく沈黙していると、彼女はまた微笑んで、家族の話を続けていた。

泣いても笑ってもいい。泣く人が弱いのでも笑える人が強いのでもない。とにかく被災された方がその時を一生懸命生きて、少しでも前に進めるようWVの支援活動がサポートできるよう願うだけだった。 「“何もかも”はできなくても“何か”はきっとできる」 子どもたちが、チャイルド・スポンサーを待っています

この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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