【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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あるNGO職員の初めての体験 - 後日談

あるモンゴルの家族

あるモンゴルの家族

* 帰国し事務所に出て旅費の精算やら、海外旅行保険会社へ盗難に遭った物品の申請やら、モンゴルでの初めての体験の残務処理をしていた。バヤン・ウルギのスタッフから盗難に遭った物品の出来るだけ詳細な情報を送って欲しいとのメールが届いていた。現場での警察の事情聴取でも詳しく一つ一つ説明してはいたのだが、、。
彼女の文面からは、自分の住む町で日本から来たゲストにこんな事が起こってしまった事への無念さがにじみ出ているばかりか、なんとか泥棒を見つけ出してみせるという執念のようなものを感じた。因みに本盗難事件に関して彼女が現地での私の代理人ということで警察の書類にサインをしていた。その責任感もあったのだろうか、私がウルギを離れた後も毎日のように警察に連絡をとって、捜査の進捗を問い合わせているようであった。

* 帰国後2週間あまりの間に彼女から4度メールを貰ったが、「申し訳ない、まだ泥棒とかばんは見つからないというような内容であった。私は私で、取られた物はもう出てくるわけがないと思っていたので、あまり気にも留めていなかった。そして5度目のメールが3週間目に届いたが、その題名が「Congratulations !」(おめでとう!)というものであった。何か捜査に大きな進展があったに違いない。それも「おめでとう!」と言うからには何か見つかったに違いないと思った。泥棒は捕まり、なんと盗まれたお金全額(172,000円と20米ドル)が発見されたと言うのだ。さらに団体のデジカメも無事に見つかった。(ただ、おかしな事に私の旅行かばん、パスポート、毛糸の帽子、マフラー、英語辞書は発見されなかった。)

* これは奇跡に近い! 盗まれたお金が全額無事とは、、。おそらく田舎で外貨を換金する方法がなく誰かに換金を依頼したのだろう。なぜならば、なんとお金とデジカメが見つかったのは、バヤン・ウルギ県ではなく、二つ隣の県だったというのだ。
恐るべしモンゴル警察!

* その後のバヤン・ウルギのスタッフからのメールは、少し悲しいものであった。「泥棒はつかまり獄に繋がれています。警察に尋問されていますが、盗まれたあなたの持ち物は出てきません。泥棒は貧しい家の出でらしいのですが、その持ち物を彼に弁償させることもできますが、どうしましょうか?」

* 私は、「弁償は要求しません。」と短く返信した。「ありがとう。そのように警察に伝えます。」というのが彼女からの最後のメールであった。

-完

この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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