国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

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まなざし

中島みゆきさんの「ファイト!」という曲をご存知でしょうか。初めてこの曲を聴いた時、とても衝撃をうけたのですが、特に「ガキのくせにと頬を打たれ、少年たちの目が年をとる」という歌詞が強く印象に残りました。理不尽や不条理によって、子どもの心が傷つけられてしまう様子が、この短い歌詞の中に、鮮明に描かれているように思ったからです(聴いたことがない方、ぜひ聴いてみてください)。

「目は心の鏡(The eye is the mirror of the soul)」ということわざもありますが、個人的にも、その人の心というか、真実をいちばん強く伝えるのは、その人の目(まなざし)であるように思います。言葉数の多さや話の上手さではなく、寡黙でも誠実な目をしている人の方が、印象に残ることがあります。

今年3月にインドのチャイルド・スポンサーシップによる支援地域のひとつ、カンドゥクール地域開発プログラム(ADP)に出張した時も、忘れられないまなざしをした一人の少女、アミナ(仮名)との出会いがありました。

カンドゥクールADPの支援地域では、女の子の早婚の慣習が根強く残っています。特に貧しい家庭ほど、経済的負担を減らし、結婚時に花婿側の家族に払う持参金が高くならないよう、できるだけ幼いうちに娘を結婚させようとするそうです。アミナもとても貧しい家庭に生まれ、13歳になると両親は彼女を結婚させようとしました。

まだ結婚したくなかったアミナは、学校の先生とワールド・ビジョンスタッフに相談し、両親を説得して早婚を免れました。以前は勉強に関心がなく、あまり学校にも行っていなかったそうですが、現在は学校に通っています。将来は歌手になるのが夢で、きれいな歌声を披露してくれました。

アミナは自分の経験を、淡々と話してくれました。私は話の内容もさることながら、彼女の14歳(当時)とは思えない、落ち着いた態度に驚いていました。特に、どこか憂いがあるような、大人びたまなざしが印象的でした。

話を聞かせてくれたアミナ

話を聞かせてくれたアミナ

アミナが早婚を免れた後、ワールド・ビジョンは彼女の両親に収入向上支援を行いました。そのことについてスタッフが説明してくれていた時、アミナがぽつりと、「ワールド・ビジョンは、私の両親の重荷を軽くしてくれた」とつぶやいたのが、とても心に残りました。そして、彼女の大人びたまなざしの理由が分かったような気がしました。

アミナも幼いながら、自分の親の苦労を理解し、その姿に心を締め付けられていたのではないかと思います。そして自分の結婚についても、親のことを思い、嫌だと言い出せなかったのではないでしょうか。

大人が思う以上に、子どもには大切な相手のことを思いやる力があること、同時に、アミナのように苦しい状況にありながら、相手のことを思い、時には自分を犠牲にしても相手を守ろうとする子どもたちが、世界中に多くいることを思わされます。

支援地域の子どもたち(インド)

支援地域の子どもたち(インド)

アミナのことを思い出すたびに、私たちの社会は、子どもたちに、弱い立場に置かれた人々に、どんなまなざしを向けているだろう、と考えさせられます。
アミナが自分の親のことを思うように、人への思いやり、温かさが感じられる社会でしょうか。
日々のニュースを見ていると、それとは反対の方向に向かっているように思えてなりません。

しかしそれは、究極的には他の誰でもない、私自身への問いであるように思います。私は今、目を向けるべきものに目を向けているだろうか、そのまなざしはどんなものだろうか。
そんなふうに問いかけながら、日々、自分なりに精一杯歩み、小さくても行動できる人間でありたいと願います。
そしてその積み重ねが、大きな力になると信じています。

 

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この記事を書いた人

蘇畑 光子
蘇畑 光子支援事業部 スポンサーシップ事業課 プログラム・オフィサー
恵泉女学園大学卒業後、2006年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。国内でのファンドレイジング、広報を担当した後、2013年4月より支援事業部スポンサーシップ事業課に所属。南アジア諸国での支援事業の監理を担当。
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