【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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NGOスタッフの記憶に残る「ギフト」(7)~当たり前のようにある『贈り物』に気づき、感謝すること~

この日は、金曜日。日差しも暑さも少し弱まり、時計は15時を回ったころ。
お昼の12時15分にすべての授業が終わる、エチオピア・ガンベラ州の南スーダン難民が暮らすジョウィ難民キャンプの中等学校敷地には生徒も先生も誰もおらず、午前中の賑やかさとは打って変わって、がらんとしています。

授業がない午後、誰もいないジョウィ・南スーダン難民キャンプ中等学校

授業がない午後、誰もいないジョウィ・南スーダン難民キャンプ中等学校

私は校舎建設の様子を確認するために中等学校に来たのですが、さて、そろそろオフィスに戻ろうかと同僚のエチオピア人スタッフと一緒に車に向かって歩いていた時でした。誰もいない教室に向かって歩くふたりの人影。

「怪しい!!!」(実は、難民キャンプ内では、窃盗事件が発生することもあります。)

誰だろう?こんな時間に?何しに来たの?こんな疑問を持ちながら、同僚と一緒に様子を見に行くことにしました。怪しいふたりは、ひとつの教室に入っていきました。

「何をしているのですか?」そんなふうに聞いてみたところ、「自習しに来たんだ」と答えるふたり。そう、ここ、ジョウィ難民キャンプ中等学校の南スーダン人学生でした!(私服で、いつもの通学用リュックも持っていなかったので、学生とはすぐに気づけませんでした。)

「な~んだ、一安心です!」

それにしても、一度学校が終わった後、自習をするために学校に戻るなんて、感心してしまいます。思わず、自分が学生だった頃を思い出しました。午前授業の日は、午後は何して遊ぼうか考えワクワクし、突然の休講が発表されたら「やった~!」なんて大喜び、大学生になったら、たま~に「自主休講」なんてことも・・・。全くお恥ずかしい限りですが、日本の教育制度にも、サポートしてくれた家族にも、学校関係者にも、感謝の気持ちをもって学生生活を送れたか、せめて真面目に勉強することで恩返しができていたか・・・、私にはとても自信がありません・・・。

そんな私ですが、この日のように、南スーダン難民キャンプでの教育支援を担当し、南スーダン人の生徒たちと交流すると、彼らの「勉強したい!」の熱に圧倒されます。

自習のために学校に戻ってきたウオルさん(9年生、日本の中学3年生)は、友達から借りたという歴史の参考書を開き読みながら、丁寧にノートに書き写していました。マシャールさん(10年生、日本の高校1年生)は、社会・公民の教科書を読み込んでいます。

参考書や教科書を読みながら、ノートに丁寧に書き写すウオルさん(左)とマシャールさん(右)

参考書や教科書を読みながら、ノートに丁寧に書き写すウオルさん(左)とマシャールさん(右)

ふたりとも同じ教室だけど、ちょっと離れた席に座って、話すこともなく集中しています。私は自習のお邪魔をしてはいけないと思いつつも、そんな真面目なふたりの生徒に興味が湧いてしまい、少しだけと約束し、お話させていただくことにしました。

南スーダンの生徒ですが、ここではエチオピアのカリキュラムで勉強しています。

中等学校11年生の英語の教科書

「ここでは、中等学校に通うことができて、とても幸せです!」

「教育は、努力すればするだけ結果で返ってくるから、将来のために頑張って勉強します!」

「なんて真っすぐな言葉・・・!」

輝かしい笑顔をみせてくれたふたり。教育というギフトを私に教えてくれました

輝かしい笑顔をみせてくれたふたり。教育というギフトを私に教えてくれました

教えてくれる先生がいること、日差しと風を凌ぐことができる屋根付きの教室があること、椅子と机があること、教科書があること、一緒に学ぶ仲間がいること、つまり、教育を受けること。
半世紀以上にわたり紛争状態が続き、識字率はたったの27%と言われている南スーダン出身の彼らは、教育が大切な『ギフト』であることを日々実感しているのかもしれません。

11月末、ワールド・ビジョンの世界中のスタッフが集まり、食糧・現金給付支援について話し合う会議に参加しました。南アフリカ共和国で働く同僚のプレゼンの中の言葉を思い出します。

『いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである。』(テサロニケの信徒への手紙一5章16-18節)

クリスマス・お正月のこの季節、様々な機会で贈り物をいただき、そして贈る機会が増えるかもしれませんね。そんな時、今年は、当たり前のようにある『贈り物』にも気づくことができたらと思います。まるで当たり前のことであるように私が受けてきた『教育』とそれを支えてくれた人たちに、そして、大切なことを教えてくれた南スーダンの生徒たちに感謝しつつ、良いクリスマスとお正月を過ごしたいなぁと思っています。

ジョウィ・南スーダン難民キャンプ中等学校にて、南スーダンの生徒たちと

ジョウィ・南スーダン難民キャンプ中等学校にて、南スーダンの生徒たちと

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この記事を書いた人

千田 愛子
千田 愛子支援事業部 プログラム・コーディネーター
大学卒業後、民間企業に2年間勤務したのち、NGOのキャンペーンスタッフやインターンとして開発支援に関わる。
その後、一般社団法人での南スーダン能力開発プロジェクトのコーディネーターを経て、2015年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
南スーダンの教育支援事業とWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
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