【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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ユーは何しにアフリカへ?

ワールド・ビジョン・ジャパンに入団して、1年。
まだまだ新人職員の 李(い)です。
現在、アフリカ地域の開発事業を担当しています。

いまの仕事にも慣れてきましたが、団体のビジョンや自身が思い描くキャリアに対して、早くも自らの実力のなさに悶々とする日々です。(どの組織に居ても同じでしょうか…)
そんな中、なにかきっかけを掴もうと、今年2月の初出張を思い起こしていました。

ユーは何しにエチオピアへ?

初出張はエチオピア。牛やロバが道端を歩き回る、のどかな(?)場所でした

初出張はエチオピア。牛やロバが道端を歩き回る、のどかな(?)場所でした

初めての出張は、アフリカ東部のエチオピア。2019年3月まで、3年間の母子保健事業を実施したアムハラ州を訪れました。
標高は2000mを超え、カラッとした天気に、牛やロバが道端を歩き回る、のどかな(?)な場所でした。

長い一本道を車で走ると、歩いて帰る子どもたちの集団が目に入りました。子どもたちは、助手席にいる外国人(私)を見て指差し、一斉にこう叫んできました。

「ユー!ユー!ユー!」

後から聞くと、エチオピアの子どもたちは、外国人を「ユー」と呼ぶようでした。始めのうちは少し動揺しながらも、現場に来た高揚感がありました。
しかし、何度か同じような歓迎(洗礼?)を受け、次第に子どもたちの眼差しや「ユー」という声が、こう問いかけてくるようでした。

「お前、エチオピアに何しに来たんだ?」

…しばらく考えましたが、はっきりした答えが見つかりませんでした。
一応、この地域を「支援」する立場として来た。
でも、日本から来た自分が彼らを「支援」するというのは、つまりどういうことなのだろうか。
それなりに考え、決断してこの仕事に就いたつもりが、現場を目の前にして、何かがわからなくなった気がしました。

支援地域の女性と子どもたち

支援地域の女性と子どもたち

そんな中、視察に訪れた保健センターで、私の後をついてくる5-6歳の男の子に出会いました。こっちを指差すので、「自分に興味があるのかな?」と近づくと、私が持っていたペンをサッと奪い取りました。その表情から、本当にそのペンを欲しがっているように見えました。

私たちの事業で建設間近だった産科棟を目の前にして、この子がいま本当に必要としているのはこの小さなペンだったのかな・・・ と、さらに思いにふけりました。

1週間後、完成した産科棟の引き渡し式に、その男の子の姿がありました。

実は、式典の直前に視察したときにも、その男の子は私たちを見に来ては、周囲をうろうろしていました。政府関係者やコミュニティの人たちが集まる盛大な式典、そこに彼が来てくれたことをとても嬉しく感じました。

自分がこの仕事に携わる意味、今こうしてエチオピアにいる理由・・・ 少しずつ頭の整理がつく気がしました。そして、彼がこの地域で育っていく姿を想像しながら、自分の子どもの頃を思い出しました。

エチオピアで出会った男の子。事業で建設した産科棟の引き渡し式にて

エチオピアで出会った男の子。事業で建設した産科棟の引き渡し式にて

子どもの頃に見たもの、感じたこと

私は子どもの頃、自分が身をおいている場所が「社会のすべて」だと感じ、その狭さの中で息苦しく過ごした時間がありました。
自分が「周りと違う存在」だと気づき始め、一生懸命周りに溶け込み、自分も「同じ」だと示そうとしました。そうしてじっとしていれば、誰も何も気づきませんでした。

でも、学校や病院で名前が呼ばれたとき、両親と出かけるとき、周囲の視線が一気にこっちに向く気がしました。仲の良い友達が、悪気なく偏見的・差別的な発言をしてきたとき、その場は笑って過ごしながらも、しばらく落ち込み、一人で気持ちを消化するしかありませんでした。

日本で生まれ育ったのに永住権の申請が断られたときは、ますます自分が「違う存在」であることを突きつけられるようでした。

そのような小さなこと一つひとつに、とても敏感な時期だったように思います。

そうした中で、社会・世界の状況に目を向けたとき、自分がいかに恵まれているか知りました。スポットライトの当たらない人たち、人知れず苦しむ人たちのために何かしたいという思いが、強くなっていきました。

大学では、学びたかった国際関係を勉強し、留学の機会も与えられました。
インターンを通して、日本国内に住む難民の子どもたちと出会ったときには、次元は違っても何か自身の体験から共有できるものがあると感じました。
そして、最も弱い立場の子どもたちに届くことを目指すワールド・ビジョンに入団しました。

でも、私のように、思いをカタチにできることは、決して当たり前ではないと思います。
子どもの頃に夢見たことを実現し、自らの経験から得た感覚を発展させるチャンスが与えられない人が多くいます。

いろんな機会を享受してきた身として、少しでも多くの子どもたちが、どんな環境の中にいても守られ、心にあるものを発揮できる世界になってほしい、その手助けがしたい。

エチオピアの男の子に出会い、原点に戻ることができた気がしました。

これからも、自身の仕事について、悩んだりつまずくことがあると思います。
その時は何度も原点に立ち返りながら、現地の人々、子どもたちにとって何が本当に「良いこと」なのか、模索していきたいと思います。

子どもの頃からワールド・ビジョンの支援を受け、大学を卒業した元チャイルドの女性。将来、ワールド・ビジョンのような組織で働きたいと話してくれました

子どもの頃からワールド・ビジョンの支援を受け、大学を卒業した元チャイルドの女性。将来、ワールド・ビジョンのような組織で働きたいと話してくれました

支援事業部 開発事業第3課
李 義真


 

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この記事を書いた人

李 義真
李 義真支援事業部 ジュニア・プログラム・コーディネーター
大阪大学法学部卒、東京大学公共政策大学院CAMPUS Asiaプログラム修了。学部時代に米国、大学院時代に韓国および中国に留学し、幅広い視点からの政治・社会・文化を学ぶ。その後、約半年間の民間企業での勤務を経て、2018年10月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。アフリカ地域担当として働く。
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