【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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「今、私にできること」 ~取り残される脆弱国・紛争影響国への支援~

皆さま、こんにちは。今年1月にワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に入団いたしました、緊急人道支援課の大井光一です。本日は緊急人道支援課が特に力を入れ始めている脆弱国・紛争影響国への支援について紹介させていただきます。

WVJによる支援の方法には大きく二つの柱があります。一つは、チャイルド・スポンサーシップ による長期間(15-20年)の地域開発支援。そしてもう一つは最近のネパール地震 やミャンマーでの洪水、紛争後のガザへの支援 などの災害時/紛争時の緊急支援 です。(第三の柱としてアドボカシー があります。)理想的には、緊急支援を実施した国が復興の段階に入り、治安や生活基盤が安定し始めたころに開発支援のフェーズへと入っていく“継ぎ目のない支援”が続いていくことです。

アフガニスタンスタッフ来日時の様子(筆者左)

アフガニスタンスタッフ来日時の様子(筆者左)

しかし、長引く紛争や統治組織の脆弱性等により、復興または緊急支援の段階から開発支援のフェーズへ進むことのできない国が多くあります。これらの国々は「脆弱国・紛争影響国」と呼ばれています。例えば、WVJが支援している、アフガニスタン、南スーダン共和国、ソマリア、スーダン共和国などが含まれています。ニュースなどでこれらの国の名前を聞いただけでも、「この国ってなんだか危なくない?」と思ってしまうような国々です。実際、これらの国々ではチャイルド・スポンサーシップによる地域開発支援を実施していません。

脆弱国の特徴は、くり返す紛争や、不安定な治安が醸成する暴力のただ中にあることです。加えて、政治、行政、司法が十分に機能できていません。紛争が終わり復興の段階に入ったかと思ったら、また紛争が発生し、緊急支援が必要な状態に大きく戻されてしまいます。これらの国々は安定的な開発の段階へと進むことができず、当然、世界全体の開発の流れから取り残されてしまっています。最も脆弱な子どもたちは実はこのような国に数多く住んでいます。

これらの国での支援方法を考えるにあたり、NGOにはいったい何ができるの?と思われる方もいらっしゃるかと思います。もちろん、当該国の政治的意思決定や国際社会の協調など、NGOの枠を超えた外的要因の影響が必要以上に重要になってきます。

仮設校舎で学ぶ生徒の様子

仮設校舎で学ぶ生徒の様子

政治的解決がすすまなければ、私たちのような援助団体による支援は、花びらの一部を何とか咲かせるようにお手伝いするようなものです。それがまたいつしぼんでしまうかもわかりませんし、どれだけの支援期間を必要とするのかも明確にはわかりません。いったいいつまで支援を続ければいいの?というご支援者の声に、いつまで支援をお願いしたいですとお伝えすることも難しいです。

一方で、NGOが取り組める範囲でも、さまざまな支援が提供できることを知っていただきたいです。例えば、エチオピアでの南スーダン難民支援では、紛争終了後に故郷での復興に貢献できる人材を育成するために、難民キャンプでの教育支援を実施しています。

私も今年の5月に現場を訪れ、建設途上(当時)の校舎の横で一生懸命に勉強をする生徒に出会いました。学校での授業が終わった後には、南スーダンの国歌を生徒全員が歌っている様子も見られ、彼らが平和を作る人材として祖国に戻れるようになることを強く願いました。

また、私がパレスチナに滞在していた際には、紛争の影響により仕事の機会が非常に少なく、日々の生計を立てるために武装組織入らざるをえない人々がいることを知りました。そういった人々のために適切な生計向上の方法を一緒に押し進めていくことも私たちにはできます。

さらにWVJはガザ地区の紛争によって心理的ダメージを負ってしまった子どもたちに、心理ケアサポートを提供しています。小さなことかもしれませんが、私たちにできることは実はたくさんあります。「“何もかも”はできなくとも、“何か”はきっとできる」。脆弱国支援の進め方を考えるときに、ワールド・ビジョン創設者のこの言葉が思い起こされます。

先の長い支援ですが、脆弱国の復興のために引き続きご支援をいただければ幸いです。

水と食糧のための募金

難民支援のための募金

クリスマスまでの「この子を救う。未来を救う。」キャンペーン期間中は、ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフ、ボランティア、インターンの支援に携わる想い「今、私にできること」シリーズを週1~2回掲載します。次回は、12月14日、コミュニケーション課でグローバル教育を担当する松本スタッフの「あなたの『え!?』が聞きたくて」をお届けします。松本スタッフが聞きたい「え?!」は誰の「え?!」でしょうか。お楽しみに。

この記事を書いた人

大井 光一ウガンダ駐在 プログラム・コーディネーター
早稲田大学法学部卒業。
エルサレム・ヘブライ大学法学修士(国際法・人権)修了。
国際人道法を中心に学ぶ。難民支援機関でのインターンを経て2015年1月に入団。2018年4月からウガンダに駐在し、南スーダン難民支援を担当。2019年3月退団。
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