先日、ルワンダに日本からチャイルド・スポンサーの方が「支援地訪問ツアー」でいらっしゃった時のこと。キラムルジ地域開発プログラムやグウィザ地域開発プログラムを統括するVictorスタッフが、スポンサーの方への感謝の気持ちを伝えた後、最後にこんな言葉を紹介していました。
“We make a living by what we get, but we make a life by what we give.”
第二次大戦中に英国の首相を務めたウィンストン・チャーチルの言葉だそうです。あえて訳すと、「我々は得る(=稼ぐ?)ことによって生活を成り立たせるが、他人に与えることによって(自分の)人生が作られていく」といった意味でしょうか。彼はこの言葉を、いつも支援してくださっている方々の「give」に対する感謝として引用したのだと思います。ですが、私は別のことを考えていました。
ここに出てくる、「生活(living)」と「人生(life)」は似ている言葉ですが、言葉が持つイメージは全く違います。「生活」とは日々生きること、日常を意味する一方、「人生」というと夢や目標などポジティブでより大きなものと結びつきます。
途上国の人たちのことを考えたとき、彼等の多くは日々の生活(living)で精一杯な状況にあります。更に言えば、それさえも維持できないほど過酷な状況下にある人たちもいます。そして我々は、彼らのそうした「生活」をよくすることを目的として活動しています。私が今ルワンダで担当している生計向上(Livelihood)プロジェクトも保健、教育、水衛生などの分野もすべてそうです。目指しているのは「より良い生活」です。
しかし、途上国の人たちにも本来は「人生」があるべきです。子どもたちには将来なりたい職業があって、若者には夢や目標があって、大人にもやりたいことがあるはずです。でも実際には、日々の生活さえままならない状況なので「人生」を考えることはとても難しいという現実があります。
我々が行っている国際協力という活動とは、途上国の人たちが「Living」を満たし、「Life」を楽しめるようになるための支援、と言えるかもしれません。彼らが基本的な生活が困難な状況から抜け出して、将来を夢見たり人生を語ったりできるようになるために。自分たちの活動の目的を改めて考えさせられる機会となりました。
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【関連ページ】
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この記事を書いた人
- 神戸大学国際協力研究科地域協力政策専攻修了。民間企業を経て、外務省専門調査員在ザンビア日本大使館にて勤務。同国の経済動向の調査および援助協調を担当。その後、JICA専門家としてマラウイ財務省において開発援助プロジェクトのモニタリング能力向上のための技術協力を行う。2011年3月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。東日本大震災緊急復興支援部で緊急支援を担当。2012年7月より支援事業部において、ベトナム、東ティモール、マラウイを担当。2015年10月から2018年9月までワールド・ビジョン・ルワンダ駐在。帰国後はアフリカ地域のプログラムを担当。2023年9月より支援事業第1部 部長として事業の管理に従事。
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