青い海、きれいな砂浜、観光地のイメージが強いフィリピンですが、実は世界で最も自然災害の被害にあう国のひとつです。特に2013年には「史上最悪」と報じられた台風ハイヤンが直撃、6000人以上の方が亡くなり、農業やインフラへの被害額は854億円という、甚大な被害がでました。
しかし、ワールド・ビジョン・ジャパンが2009年からチャイルド・スポンサーシップの支援を行っているレイテ地域、サマール地域は、台風ハイヤンの被害が最も大きい地方にあったにもかかわらず、亡くなったチャイルドは1人もいませんでした。
この「奇跡」に大きく貢献したのは、日本からの支援がフィリピンに届けた、防災訓練でした。
今年1月、途上国の子どもたちの現状を伝えるテレビ番組を撮影するためにフィリピンを訪ねた私は、レイテ地域の子どもたちを対象とした防災訓練を視察することが出来ました。
10歳ぐらいの子どもたちが20人程集まって、真剣な表情でワールド・ビジョンのスタッフの話を聞いています。その後グループに分かれて、自分たちの住んでいる地域の防災マップを作ります。
「あそこには鉄塔があるから、危ないね」「この川は台風の時は水が増えて、特に夜は近付けないよ」
災害時のリスクを洗い出し、安全に避難する方法を考えます。こうした訓練は、日本を含む世界中の国々の被災経験から生まれました。子どもたちを対象とした訓練とは思えないレベルの高さに、驚きました。
さらに驚いたのが、子どもたちが小さなリーダーとしての自覚をもって訓練に参加していることです。訓練に積極的に参加するだけでなく、学んだ知識を家族や友達に教えて地域全体の防災力を高めることに貢献しています。
ワールド・ビジョン・ジャパンがチャイルド・スポンサーシップの支援を行っているレイテ地域、サマール地域では、こうした活動を2009年より継続して行っています。日本の皆さまの尊いご支援により、防災訓練がフィリピンに届けられ、結果として大勢の命を守ることができました。
支援者の皆さまの「困っている子どもたちの力になりたい」という思いが積み重なり、フィリピンの支援地にひとつの奇跡をもたらしました。それをこの目で見て本当に嬉しく、是非ご報告したいと思い、このブログを書かせていただきました。
ワールド・ビジョン・ジャパンはこれからも、災害から復興途上のフィリピンで、そして皆さまのご支援を待っている子どもたちがいる世界中の地域で支援活動を続けていきます。
マーケティング第1部
チャイルド・スポンサーシップ課
大住 祐里奈
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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