今年の夏、取材先のネパールで、毎日を生きるのに必死なお母さんたち、またそんなお母さんを支えるために一生懸命の子どもたちに会った。
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【 アイサリちゃん 9才とお母さん 】
最初アイサリちゃんに会ったとき、長い髪に大きな瞳、細い体だが意志を秘めた大きな瞳、お母さんを守ろうとする強い心が垣間見えた。女の子らしく伸ばしている髪が大好き。でも、次に会った時には長い髪はシラミが広がって切られてしまっていた。毎日食べる物の心配をする中で髪のことなど些細なこと。だけど、都会に出てきて学校にも行けず、食べるものも毎日心配しなければならない、小さな女の子の大切なものが無くなってしまった。
アイサリちゃんの住むスラムは、地方から出てきて住むところのない人たちが住み始めたいわゆる違法に場所を占拠して広がったエリア。衛生環境はひどく、女性たちもあちこちで髪の毛を探ってシラミをとっている。また、アイサリちゃんの家には窓がなく、床は土の上に布を敷いて生活している。雨が降れば雨漏りして土が湿り、暑い国だが湿度が高くてなかなか乾かない。お母さんは、学校に行ったことがなく、読み書きができないため、都会に出てきても就ける仕事は日雇い人工。お母さんは願っている。子どもたちは学校に通い、もっと良い人生を歩んで欲しいと。
そんな環境に住むアイサリちゃんだが、将来の夢はある。マダム=先生(アイサリちゃんの住んでいた地域では、尊敬をこめて先生のことをマダムと呼ぶ)になって、お金を稼いで、お母さんを支えたい。
【 ロサン君 8才とお母さん 】
ロサン君とお母さんも、地方から都会にもっと良い生活を求めてやってきた。でも学校に行ったことがなく読み書きができないお母さんが得られた仕事は、ごみ収集場から売れるゴミをより分ける仕事。休みなく働き生活を支える。
ロサン君に年齢を聞くと自分は「5歳」と答えた。お母さんに聞くと実際は8才。ロサン君は学校に行けず、家にも一人でおれず一日をひとり川辺で過ごす男の子。質問しても待ってもなかなか答えが返ってこない。はじめは緊張しているだけかと思ったが、どうやらそれだけではないらしい。一日中人と会話することもなく過ごすロサン君は、質問に答えたり、自分の思っていることを表現したりする機会がなかったため、誰かからの問いに答えることが難しい。そんな中でも話してくれたことは「お母さんを助けたい―」。 お母さんを想う強い気持ちは表現してくれた。
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育つ環境は違っても、子どものお母さんに対しての愛情は同じ。家族が助け合うことが当たり前。困難な環境だからこそもっと助け合うことの大切さを感じている。お母さんも必死で毎日仕事をしている。でも、子どもを学校に通わせたくても、自分だけではどうしてよいかわからない。入学のための申込書を読んだり書いたりすることも難しい。入学にかかるお金の工面もどうしよう…。そんなジレンマや無力感を抱えるお母さんだからこそ、子どもにはもっとよい生活をと心より願っている。
ひとりの子どもが安全な水を飲み、毎日栄養のある物を食べ、学校へ行き勉強する。そして、周りの人に必要なことを伝え、将来に夢を持ちそれに向かって進んでいくことができる。そんな環境にないところで、人生の一つ一つを立て直していくことが、なんと困難なことかと考えさせられる。子どもの成長は早い。一年でどんどん大きくなっていく。大切な子ども時代に少しでも将来のための力がつけられるよう、一日でも早く支援を届けたい。
教育だけでも、水衛生だけでもないチャイルド・スポンサーシップの包括的な支援が、この困難な状況を良い方に変えていける。そう考えて、今日もワールド・ビジョンのスタッフは、一人ひとりがその役割を精一杯果たそうとしている。
マーケティング第1部
課長 堀切 かおり(1998年 入団)
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この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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