久しぶりにカンボジアに行ってきました。プノンペンだけでなく、バッタンバンのような地方都市も経済的な発展を遂げているのにはびっくりでした。道路は整備され、きれいなビルやショップが多く見られました。
ただ、一般のお店でもアメリカドルが流通しており、(むしろリエルよりはアメリカドルが好まれているかも)外貨が主要流通通貨という異常さを感じました。また、若者の失業率は高いままですから、決して安定的で健全な経済状態とは言えない気もします。
さらには、農村部に入ると昔と変わらない風景が現れ、相変わらずの貧困状態も見えます。都市と農村、金持ちと貧しい人との格差は拡大しているでしょう。それは、日本の格差とは比べられない様な大きな格差だと感じました。
それでも少額資金の貸し付けを受けて、大きな精米所を運営しているおじ様(僕よりずっと若い方!)や、両親を亡くした青年が美容院を開いて安定した収入を得るなど、新たな動きも出ています。
カンボジアの美容院は驚くほど多いのです。決して大きな美容院ではありませんが、ヘアーカットだけではなく、お化粧やネイルなども行うのが特色のようです。特に結婚式などのイベント前には女性の皆さんはサロンでしっかりお化粧をするのが通例です。
ワールド・ビジョンの関連団体である、ビジョン・ファンドはこのような小さな事業の開店資金や改装資金などのための少額のローンを提供しています。個人向け貸し付けを行う事務所は普通の銀行と比べても引けを取らないくらいしっかりしています。
現在途上国では、貧しい人々への少額貸付事業は盛んに行われるようになっていますが、その問題点が指摘され始めている一方(返済のために働くようになったり、貸し付けを受けたグループ内で軋轢が生まれたり、など)確かに成果を上げている面もあることを確認しました。
この記事を書いた人
-
大学卒業後、三井住友海上火災保険株式会社(旧大正海上火災)入社。1982年同社を退職し、キリスト者学生会(KGK)の関東地区主事となる。海外との文化交流事業、日本人学生の海外派遣事業、在日留学生の支援事業等も行う。フィリピンにおける2カ月間の研修および中国、タイ、インド、インドネシア等の視察を行う。
1992年同会を退会し、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン入団、2000年から2017年まで事務局長。2017年4月から常務執行役員、常務理事などを歴任。2023年10月より現職。
その他の役職: 社会福祉法人キングス・ガーデン東京 理事長
公益財団法人国際開発救援財団 理事
福音主義医療関係者協議会 顧問
1999年イギリス マンチェスター大学大学院IDPMにて「社会開発」と「NGOマネージメント」を学ぶ。
2020年 立教大学大学院キリスト教学研究科修了(神学修士)
共著:「連続講義 国際協力NGO」(日本評論社)、「国際NGO が世界を変える」(東信堂)
このスタッフの最近の記事
- アジア2018年11月21日NGOスタッフの記憶に残る「ギフト」(1)~小さくても豊かな贈り物~
- 中東2016年8月2日中東の国を訪れて -子どもの力-
- 事務局2015年12月21日「今、私にできること」~大切な存在だと伝えたくて~
- アジア2015年1月26日カンボジアの美容室から