【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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声なき人の声となる

アメリカ、ホワイトハウス前にて。声なき声を届けていきたいです

アメリカ、ホワイトハウス前にて。声なき声を届けていきたいです

初めまして。10月からワールド・ビジョン・ジャパンに入団させていただきました中村と申します。入団前は、コスタリカの大学院で国際法と人権の勉強をしていました。私はアドボカシー業務を担当させて頂いておりますため、今回のブログでは、アドボカシーとは何かということと、なぜ私がアドボカシーを仕事として志すようになったかを紹介させていただきたいと思います。

そもそもアドボカシーというとあまり聞きなれない言葉だと思います。色々な定義がありますが、ワールド・ビジョンの定義では、“一人ひとりが問題について知り、その原因について声をあげ、 解決のためにできることを訴えていくこと”、としていて、この働きにより、政策を変え、不公正な社会を変えていくことを目指します。
詳細はぜひ下記ホームページをご覧ください。

それでは、なぜ私がアドボカシーという分野に興味を持ったのか、ということですが、日本の人権NGOでインターンをした時の経験がきっかけでした。そのNGOでは、想いを持った人権弁護士たちが、世界で起こるさまざまな人権侵害に苦しむ人々の代わりに声をあげ、法律の知識を活かして政府に対応を求める、ということをしていました。私もそういった活動に携わらせていただき、幸運にもそういった活動の結果、国の法律が変わるという場面に立ち会うことができました。それまで補償を受けることができなかった何万人という人たちが、法律の改正によって、補償を受けて生活を立て直すことができる、という状況を目の当たりにし、アドボカシーという活動の可能性と、影響力の大きさを体感しました。

そして、更に私の進路を決定づけるようになったのが、聖書の言葉でした。私はクリスチャンなので、よく聖書を読むのですが、私が大学院に留学する為に日本を出発する朝、聖書を読んでいた時に下記の聖書箇所に行き当たりました。自分の進むべき道を示されたと感じました。

英語:Speak up for those who cannot speak for themselves,
for the rights of all who are destitute.
Speak up and judge fairly, defend the rights of the poor and needy.

日本語:「あなたは口のきけない者のために、また、すべての不幸な人の訴えのために、口を開け。口を開いて、正しくさばき、悩んでいる人や貧しい者の権利を守れ」
(箴言31章8、9節)

世の中には、理不尽な暴力を受けたり、搾取されていながら、自分ではその問題について声を上げることができず、ただ苦しんでいる人が沢山います。私は、そういった人たちの代わりに彼らの“声”となりたい、そしてその問題を彼らの状況を改善することのできる政策決定力を持った人たちに訴え、社会正義の実現を達成していきたい。そういった活動を一生かけて行っていきたい。そう思い今回ワールド・ビジョン・ジャパンの門をたたかせていただきました。

目を背けたくなるような酷い現実は常にあり、そしてそれに対する自分の無力さを感じ、途方に暮れることもしばしばあります。

ミャンマーで少年法の分析をさせていただく機会があり、現地の少年院を周り、補導された子どもたちにインタビューをしました。そこで会ったどの子どもも、目がキラキラしていて笑顔がまぶしい、日本でみかけるいわゆる“普通の”子どもでした。しかし、話を聞いていく中で、彼らが、高校生の年齢で何人も殺人を犯していたり、中学生の年齢から街頭に立ち売春を行わされていたり、小学生の年齢で武装勢力の軍事作戦に参加させられていたり、と通常私が知っている子どもとはあまりにも違う人生を歩んでいることを知り、衝撃を受けました。

そして、更に話を聞いていくと、そういった子どもたちの背景には、大抵、家庭崩壊と貧困があり、社会全体としてその問題が解決されない限り、根本的な変化は起きないと感じました。親に捨てられ、身内もないため少年院に留まることを余儀なくされている子どもの一人が、それでも“ここを出て早く家に帰りたい、お父さんとお母さんに会いたい”、と訴えた姿は決して忘れることができません。そういった現実を知りながらも、すぐに私ができることは何もない。そう思うと、日々とても歯がゆく感じます。

だからこそ、彼らの声にならない声を世間に届け、力を合わせてこういった問題を解決していきたいと思っています。こういったことは、一日ですぐに解決できることではないかもしれません。しかしそれでも、一人ひとりが声を上げ続けることが大切だと思っています。今後とも宜しくお願いします。

アドボカシーチーム 中村敏久

 

この記事を書いた人

アドボカシーチーム
貧困や紛争の原因について声をあげ、市民社会や政府による行動を通じて問題解決を目指していくアドボカシー。

他のNGOをはじめいろいろな関係者と連携しながら活動を行っています。ロビイングやキャンペーンにかける想い。ぜひお読みください!
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