【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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苦しいときこそ、原点回帰。そのスイッチは・・・?

「友だちと遊べること」
「みんなが正直で、暴力がなく安心して外出できること」
「蚊帳の中で、蚊に刺されてマラリアになる心配なく、ぐっすり眠れること」
「お父さんとお母さんに仕事があって、僕は助けを必要としている人の役に立てること」
「明日が楽しみであること」

これは、ワールド・ビジョンが世界6カ国(カンボジア、フィリピン、ウガンダ、マリ、アルバニア、ニカラグア)に住む646人の子どもたちに、「“豊かないのち”とは?」と聞いた時の答えの一部です。詳しくは、こちら ↓ の動画をご覧ください。

どれも、なんと端的で、そして真実なことか。
人間が生きる上で何が大切なのか、一番わかっているのは子どもたちかもしれません。

この子どもたちに、紛争を繰り返し、貧困を解決できない大人はどう見えているのでしょう。アフガニスタンやシリアの紛争、ミャンマーの混乱、エチオピアの飢餓、ハイチの地震…。次から次に出現する大きな壁の前に、立ち尽くすことしかできないのかと、子どもたちから責められても仕方のない状況です。

無力感に沈むとき、原点回帰させてくれるのは・・・

ワールド・ビジョンには、ビジョンがあります。
「私たちのビジョンは、すべての子どもに豊かないのちを。
私たちの祈りは、すべての人の心にこのビジョンを実現する意志を」

私を含め全世界のワールド・ビジョンのスタッフたちは、このビジョンの実現を心から願って、少しでも良い仕事をしたいと、日々励み、切磋琢磨に努めています。でも、やはり仕事ですから、時にどっと疲れることもあります。 やる気レベルが急降下することも、何もかもうまく行かない(と思う)ことも、正直(割としばしば)あります。

でもそんな時、子どもたちの声を聞くとはっとします。
仕事で行き詰った時、
紛争や災害が繰り返される厳しい現状を前にみずからの無力感に沈む時、
そこからまた「やろう」という気持ちを奮い立たせてくれるのは、冒頭に紹介したような、素朴で、でも真実な子どもたちの声です。
まさに、自分が何のためにこの仕事を選んだのか、原点回帰の特効薬です。
「やる気スイッチ」と言ってもいいかもしれません。

「ひとり」ではない

「子どもたちの声を聴きます」
「子どもたちのために祈り、与えられた役割でベストを尽くします」
「子どもたちのより良い明日と成長のための政策や方針が導入されるよう、国や自治体に働きかけます」
「支援地にある子どもに関わるすべての組織が、必要な活動を的確に行えるよう、人材育成や組織強化をサポートします」

これは、冒頭の子どもたちの声を聴いて、それを実現するために自分はこうありたいと宣言する、世界のワールド・ビジョンの仲間たちの声です。


置かれた場所で地道に仕事を積み重ねること、責任を果たすこと、
それが子どもたちに豊かないのちをもたらす唯一の道だと信じる仲間たちが世界中にいることにも励まされます。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、2022年度から「新5カ年計画」をスタートさせます。すべての子どもたちが豊かないのちを得られるように、私たち各々がこれまでの限界を超えて挑戦する―地図から踏み出す―ことが、計画の「背骨」です。

一人ひとりが責任を果たしながらも、「ひとり」ではないこと。
これがワールド・ビジョンの強みの一つです。

大きな目標にむかって、みんなで迷いながら、支え合いながら、時には弱音を吐きながら、果敢に挑んでいきたいと思います。

この記事を書いた人

木内 真理子WVJ理事・事務局長
青山学院大学を卒業後、国際協力銀行(JBIC)前身のOECFに入社。途中英国LSE(社会政策学)、オックスフォード大(開発経済学)での修士号取得をはさみ、アフリカ、インドネシア、フィリピンにおいて円借款業務を担当。母になったことを契機に転職。東京大学にて気候変動、環境、貧困など21世紀の課題に対応するSustainability Scienceの研究教育拠点形成に従事。「現場に戻ろう」をキーワードに08年10月よりWVJに勤務。アフリカ、中南米、ウズベキスタンを担当。2011年5月より、東日本緊急復興支援部長。2013年4月より副事務局長。2017年4月より事務局長。2020年4月より現職。青山学院大学非常勤講師、JICA 事業評価外部有識者委員、JANIC理事、日本NPOセンター副代表理事
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