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祈りと誓い:南スーダンでの平和の鐘をいま!

昨年2016年7月9日、南スーダンの独立5周年の記念日に、紛争影響の困難の中を歩む南スーダンの人々の希望を応援したい気持ちを込め、ともに南スーダン支援を実施しているジャパン・プラットフォーム*の加盟団体とともにシンポジウムを実施しました。

*NGO・経済界・政府等の社会の主要パートナーをつなぐ、日本発の新しい緊急人道支援のしくみ

共和国の誕生から5年の2016年7月は、2013年末の紛争の勃発より2年半を経たばかり。国民統一暫定政府が樹立されたものの、政治情勢はきわめて不安定で国民統合に向けた道のりは険しく、難民や国内避難民となって逃げる人々の故郷への帰還の目処が立たない状況にありました。しかし、そんな中だからこそ、次の世代を担う若者にインタビューし、彼らの可能性から平和と発展に向け未来を切り開く姿を伝えたいと、支援地域で動画を撮り、私は彼らの声を編集しました。

エチオピア 南スーダン難民キャンプ 教育事業で学んでいる生徒たち

エチオピア 南スーダン難民キャンプ 教育事業で学んでいる生徒たち

若者の声は、誰でもどの民族でも若者は若者なんだなと感じさせる、難民キャンプで新しい服が買えないことへの少女の不満もあれば、日本人の私たちが想像も絶するような、人々が殺害される中を逃げる経験の語りなど、様々でした。
はじめは暗い表情で語る青年も、将来の夢を語るときは顔を輝かせて、「南スーダンに帰ったら命を救う仕事がしたい!」と故郷への想いがあふれる夢を教えてくれました。若者の声を何度も聞いて編集したため、未だに彼らの声が頭から離れません。

「人々の間で“平和を作る人”になりたいです。人々の結束を高め、人々の間にある闘争心や争いに駆り立てる気持ちを取り除くことができるリーダーになりたいと思っています。
もう一つは、ビジネスマンになることです。ビジネスをやり、人々にもローンを提供することができるようになること。そうすれば、人々は“食”を得ることができるようになる。貧しい人は、どうやって生計を立てるべきか、食べ物を得ることができるのか術を失い、分からないでいる。だから、ビジネスで店を経営することで生計を立てたいんです。」(ケニア、カクマ難民キャンプの青年)

夢を語ってくれた生徒たち

夢を語ってくれた生徒たち

しかし、とても残念なことに、その独立5周年を迎える数日前から南スーダン首都ジュバでは紛争当事者による衝突が再燃しました。私たちの日本からの祈りと応援、そして何より、あの若者たちの夢が吹き消されてしまう…そんな思いで、事態を見守りました。

その後も、さらに混乱が拡大し、紛争影響が比較的少なかった地域にも戦火が飛び火しただけでなく、経済の破綻、800%を超えるインフレ率による生活の困窮と食糧難が人々をさらに苦しめています。そのため、南スーダン国内ではさらに多くの若者が、自衛目的として武器を手に取り、紛争に巻き込まれています。事業地からも日々、困難な知らせが届き、事業の継続が危ぶまれる事態に陥るのでは、との一抹の不安を胸に、状況が好転するよう祈る日々でした。

そんな中、私の息子の通う中学校の合唱祭にて、『HEIWAの鐘』という歌を聴きました。南スーダンの子どもたち、青年に聞かせてあげたいと思う歌でした。気づくと涙が流れて止まりませんでした。

国内の教育事業で学んでいる子どもたち

南スーダン国内で実施している教育事業で学んでいる子どもたち

よみがえれ あの時代へ
武器を持たぬことを伝えた
先人たちの声を
永遠に語り継ぐのさ
脅かすことでしか 守ることができないと
くり返す戦争(つみ) 忘れゆく 愚かな権力(ちから)よ
いつか(自由な空が)
虹かかる(翼ひろげゆく)
風に(高く大きな) 幸せ贈るだろう
ぼくらの生まれたこの地球に
奇跡を起こしてみないか
拳をひろげてつなぎゆく
心はひとつになれるさ
平和の鐘は 君の胸に響くよ

今の私の祈り・願いは、「南スーダンの子どもたちや青年たちが、平和の鐘を鳴らす機会もないままに、戦闘に巻き込まれ、将来への希望を見いだせずに紛争による影響の不安の渦中に居るままでは、絶対にいけない!歌にあるように、奇跡を起こさなければならない!」ということです。

困難を乗り越え継続している教育事業を通じて、南スーダンの子どもたちが『平和の鐘』を鳴らすことを、今、始めなければならないし、南スーダンの若者の夢を消さないよう、最も困難な状況が続く今だからこそ、私たちはもっと応援しなければならない!という誓いを、この歌を口ずさみつつ新たにしています。

 

 

この記事を書いた人

中村ゆき
中村ゆき支援事業部 緊急人道支援課 プログラム・オフィサー
大学卒業後、約7年にわたってODA関連業務を請負コンサルタント会社勤務。在職中、青年海外協力隊(1997-99年)タイ(村落開発普及員)に派遣される。
2001年よりNGOに勤務し、緊急支援事業でエチオピア短期派遣後、村落開発コーディネーターとしてフィリピン駐在。一般企業勤務を経て、2007年5月よりワールド・ビジョン・ジャパン入団。
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