【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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小さな声から

アドボカシーは、問題を抱えているにもかかわらず、大きな声ではそのことを訴えられない人々の「小さな声」を、問題解決のために力を持つ人に届け、現状を変えようと働きかける活動です。「小さな声」は、本当に聞かれることがあるのでしょうか。私はこの1年余りの活動から、「あります」と言える確信を持ちました。

幼くして命を落とす途上国の子どもたち。その45%に栄養不良が関与していることが明らかになっています。ワールド・ビジョンは、子どもの命を救うために特に栄養改善が大切であることを訴える活動に力を入れています。

その重要性について、外務省とNGOの会合で伝えていたところ、他のNGOの方から「一緒にやりませんか」と声をかけていただき、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)、(特非)日本リザルツ、(公社)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの3団体(自称3銃士)で一緒に声を上げていくことになりました。

結果、この1年余りの間に、外務省、財務省、国際機関などを訪問して栄養改善の重要性について提言するとともに、政府・企業・NGO関係者の合同会合やまた国会議員の方への勉強会などにも協力させていただくことになりました。

バングラデシュにおける支援で栄養改善の指導を受けた母親がこどもに食事をさせている様子

バングラデシュにおける支援で栄養改善の指導を受けた母親がこどもに食事をさせている様子

国会議員の方を対象とした勉強会の開催など想像さえできなかったので、私自身本当に感動しました。その時、思わされたのが聖書にある「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」(コリントの第二の手紙12章9節)というものでした。

言葉も足らず、弱い小さな声を上げている中、まったく想像もしていない大きな助けと協力が共労者を通して与えられたからです。

その後、世界的な潮流もあり、最も貧しい国へ支援を行う国際機関の成果指標に栄養不良の指標が取り入れられ、今後の日本政府のアフリカへの支援方針の中にも栄養不良対策が含まれました。少しずつ栄養支援対策が動き出しているのです。

それでも、もうすぐ2015年。それは世界でつくった開発目標(ミレニアム開発目標[i])の達成期限です。しかし、8つある目標のうち、5歳未満の死亡を減らすことを掲げた目標4の達成は最も遅れていると言われており、1年で660万人の子どもたちが亡くなっています。

にもかかわらず、日本の政府開発援助(ODA)支出のうち、保健医療分野は4%にもならず、先進国平均の3分の1以下で、栄養分野への支出はわずか0.3%です[ii]。一方、国連では2015年以降を見越した世界の開発目標づくりが進んでいます。来年までの目標に向かって最大限の努力をすること、そして、その後世界が進んでいく目標が子どもの命を大切にするものになるようにすること。どちらのためにも、今年の9月の国連総会までの働きかけがとても大切になります。

世界の子どもたちが5才までの命をもてるように、思いを込める筆者

世界の子どもたちが5才までの命をもてるように、思いを込める筆者

ワールド・ビジョン・ジャパンは、まず、2015年までに掲げた目標が達成されることを目指して、つまり、もっと多くの世界の子どもたちにまず5歳までの命が与えられるように、日本政府や世界のリーダーに働きかけることを目的とした「命の木プロジェクト」を今日から実施し、皆さんの声を募集いたします。

子どもたちの命を救いたい気持ちを表した絵、写真、カルタ作品をWVJホームページからお送りください。

皆さんの声が世界中の子どもたちの「小さな声」を世界のリーダーに届ける大きな力になります。ご協力、どうぞよろしくお願いします。

アドボカシー オフィサー 高橋 真美

命の木プロジェクトのサイトはこちら

世界の子どもカルタのサイトはこちら

命の木プロジェクトのロゴ

[i] 2000年9月に開催された国連の世界首脳会議(国連ミレニアムサミット)において、189の加盟国によって採択された宣言とそれまで国際社会で合意された様々な目標を一つの目標としてまとめたものが、ミレニアム開発目標(MDGs)です。2015年までに8つの目標を達成することになっています。

[ii]OECD  http://stats.oecd.org/qwids/

この記事を書いた人

アドボカシーチーム
貧困や紛争の原因について声をあげ、市民社会や政府による行動を通じて問題解決を目指していくアドボカシー。

他のNGOをはじめいろいろな関係者と連携しながら活動を行っています。ロビイングやキャンペーンにかける想い。ぜひお読みください!
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