入団のきっかけ~私を襲った4つの災難 その5
手術の翌日は、人生で何十何回目かの誕生日だった。病室の白い天井を見上げながら、近代治療を受けられない時代だったら、あるいは受けられない状況だったら、私の寿命は昨日で尽きたんだなと思い、生きて一つ歳を重ねた不思議さを思った。 その夕方に医者が...
手術の翌日は、人生で何十何回目かの誕生日だった。病室の白い天井を見上げながら、近代治療を受けられない時代だったら、あるいは受けられない状況だったら、私の寿命は昨日で尽きたんだなと思い、生きて一つ歳を重ねた不思議さを思った。 その夕方に医者が...
歯の治療が完了して3日後。 私は3つの島がつながって海に浮かぶ回廊のような散歩道を歩いていた。青い海の対岸には遠く首都の摩天楼が蜃気楼のように霞んでいる。道の両側には青く静かな海が光っている。美しい風景だった。私は幸せを噛み締めながら、しか...
救急窓口では痛め止めをくれただけだった。 運悪くそれは金曜日で、翌朝長距離バスで首都に着いたが、週末はどこの歯科医も開いていなかった。半欠け前歯はズキズキと痛み、さらに何かが当たると飛び上るほどの激痛が走った。ほとんど食事もとれないまま、長...
それから数日後、私は先住民の人々の村が点在する、美しい湖のほとりを旅していた。しかし、穏やかで風光明媚な風景にはまるで似つかわしくない状況に私は陥っていた。 猛烈な腹痛、下痢、嘔吐、悪寒、高熱。 さわやかな気候なのに、体の震えが止まらず、歯...
人間誰でも、それまでの人生を振り返った時に、良くも悪くも「もし、あの時ああいうことが起こらなかったら、自分の人生はもっと違うものだったろう」と思うような出来事がいくつかあるのではないだろうか。 その時にはそれが将来自分にどんな意味を持つよう...