2023年3月よりウガンダに駐在している、古徳(ことく)です。夜10時、懐中電灯の灯りを頼りにバケツに水を汲んでいます。
実はウガンダに住むのは2回目で、前職では首都カンパラ、今回は首都から車で8-9時間離れたアルアでの駐在です。アルアからでこぼこ道を車でさらに1.5時間ほど走ると、現在の担当事業を実施しているライノ・キャンプ難民居住地 に到着します。この1.5時間の悪路が辛く、今週は居住地内のスタッフ用宿舎に滞在しています。そんなわけで、冒頭シャワー(というより水浴び?)のため水を汲んでいたのでした。正直あまり洗えていない気もしますし、慣れるまで時間がかかりそうですが、水道があるだけでもありがたいことです。
今回は、ここライノ・キャンプ難民居住地で実施している事業の概要、日々感じていることを日本の皆さまに知っていただければと思っています。
どんな活動をしている?
ウガンダはアフリカ大陸の東に位置し、南スーダン、ケニア、タンザニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国に囲まれた内陸国です。アフリカ最大の難民受け入れ国でもあり、南スーダンやコンゴ民主共和国を中心に、近隣諸国から150万人以上が避難してきています。事業地で暮らしている難民の多くは、紛争が悪化した2013年以降に南スーダンから逃れてきた方々です。
ウガンダは難民に就労の自由やウガンダ人と同様の社会サービスへのアクセスなどを認める政策をとっていることから、世界一難民に寛容な国の一つとも言われます。しかし難民の方々が実際にこうした権利を享受できているかどうかはまた別の話です。難民受け入れ地域の多くは元々資源やインフラの充実している場所ではありません。避難生活が長引き、難民の数が増えるにつれ、教育や保健など基本的なサービスへのニーズも高まっていますが、いずれも整備が追い付かず、課題は山積みです。
実際に、事業地の小学校でもウガンダ人と難民の子どもたちが一緒に学んでいます。しかし教室不足が深刻で、1教室あたりの児童数が300人を超える学校もあります。教科書も教員の数も全てが不足している環境下では、十分な読み書きも身につけられないままの子どもも多く、高い退学率につながっています。また、子どもたちは学校内外で様々なかたちの暴力や搾取を受けやすい立場にいます。特に10代の子どもの結婚・妊娠増加は事業地でも大きな問題となっています。
事業ではこうした幅広い教育課題に対応するため、(1)教室や教材など学習環境の整備、(2)教員研修や学校外での読書活動を通じた教育の質改善、(3)学校・地域での子どもの保護システム強化、(4)これらを持続的なものとするため地域・政府の学校運営能力強化、という4つの柱で活動を実施しています。これらの活動は、日本の皆さまからの募金と、外務省からの資金(日本NGO連携無償資金協力(通称N連))で実施しています。
活動にこめる思い
教育は未来への投資と言われますが、事業地で日々子どもたちの姿を見ていると、子どもたちにとっては教育を受けることが「今」の日常でもあることを感じます。教育支援は成果がすぐには見えづらく、後回しにされがちな分野でもありますが、子どもたちの毎日を作る重要な支援です。学校が、子どもたちが毎日楽しく安心して過ごせる場所であってほしいという思いで活動しています。
とはいえ、上述の課題も全体の一握りでしかなく、日々膨大なニーズに圧倒されているというのが正直なところです。国際社会からウガンダへの支援は年々減少しており、特に昨年実施された食料支援の削減以降、食事の量を減らしてやりくりしている、子どもを学校に行かせたいが文房具も買えない、といった話を聞く機会が今まで以上に増えています。
南スーダンのような長期化する人道危機を含め、報道されず人々の目にとまることのない人道危機は世界中で起きています。どこかの国の紛争や難民について見聞きすることがあれば、ウガンダやその他の国で暮らす子どもたちにも思いを寄せていただければ幸いです。
* * * * * * * * * *
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、厳しい環境で生きる子どもたちのために、「難民支援募金」をご案内しています。
紛争により家を追われ、生活が一変した子どもたちに難民支援募金にご協力ください。
関連ページ
・3分でわかるウガンダ ~ウガンダって、どんな国?~
・ウガンダはなぜ難民受け入れ大国なのか?内戦の歴史と難民政策を解説
・ウガンダの教育の現状と問題を知り、今できる支援について考えよう
この記事を書いた人
- 早稲田大学法学部卒。卒業後は在ウガンダ日本大使館にて在外公館派遣員として3年間勤務。その後、中高の教員や大学院留学を経て、2020年6月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部開発事業第3課にて、主に東アフリカ地域の事業を担当。2023年3月よりウガンダ駐在。
このスタッフの最近の記事
- アフリカ2024年2月19日ウガンダ 駐在だより
- アフリカ2022年6月1日4年ぶりのウガンダで、私が泣いた理由