【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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置かれた場所は途上国|エチオピアでの支援と食文化

■こころがつながる支援を

私は、2017年2月から10月までの間、エチオピア連邦共和国の最西端、南スーダン共和国と国境を接するガンベラという地域に拠点を置き、南スーダン国内の紛争から逃れてきた難民の青少年を対象に、難民キャンプ内での学校建設、教員研修、難民キャンプの住民を対象に、教育の重要性についての意識啓発活動等の支援を行いました(事業は継続中)。

支援先の学校の生徒たちと筆者

支援先の学校の生徒たちと筆者(中央)

エチオピアは、平均標高が2100~2400メートルで高地はとても過ごしやすい地域ですが、私たちが活動しているガンベラは低地にあり、特に2月~4月は、日中40度を越えるとても暑い地域です。今でも事業地に最初に訪れた日のことをよく覚えています。日中40度を超えるうだるような暑さの中、何万人もの難民が生活をしているキャンプを訪れ、現地のスタッフと共に活動をしました。出張・駐在をする前から、事業地での生活はとても大変だよ、と同僚から話を聞いてはいたのですが、いざ自分が赴いてみると常に仕事は体力勝負。環境やめまぐるしく変化する支援現場のニーズ・状況に柔軟に対応していく力も必要であることに気付かされました。

私は限られた期間しか現地には駐在しませんが、実際に難民の人々は常に水や食糧が不足している環境で生活をしているのです。さらに、いつ自分の国に帰れるかわからなかったり、両親がどこにいるのかもわからなかったりといった状況で、精神的にも厳しい生活を過ごしている方が大部分です。

難民キャンプのようす

難民の人々が暮らしている居住区

そんな環境の中で、日々難民の人々と活動をしながら私が思わされていることは、一人ひとり、出会った人たちの名前をできる限り覚え、個人的なつながりを持つということです。例えば、私たちは教育支援をしていますので、よく話をする生徒の名前を覚え、時間があるときには個人的な話をするようにしています。活動の日に見かけたときには、「元気?最近どう?」と声をかけていました。向こうからも「日本に行っていたの?光一の家族は元気だった?」と聞いてきてくれます。そうすることで、漠然とした支援ではなく、人と人とのこころが繋がる支援が生まれるのではないかと思っています。

ワールド・ビジョンの活動の根底には、ただ支援を届けるだけではなく、私たちの支援によって支援を受ける人々の生き方が変わっていくことを目的とした “Transformational Development” (変革的な開発)といった目標があります。私たちの支援によって、一人でも多くの難民の生活がよりよい方向に変革されていくような活動を、これからも続けていきたいと思っています。

■独特な食文化

また、今回はエチオピアの生活から、エチオピア独特な文化をご紹介したいと思います。

「本日のコーヒーはエチオピア産になります」
お近くのカフェでこんなことを聞いたことはありませんか?エチオピアから帰国してすぐに、都内のカフェでかけられたそのひと言に、わたしは何だか懐かしくなりました。エチオピアは世界でも有数のコーヒー大国で、国の輸出の大部分をコーヒー豆が占めるほどなのです。もちろん、エチオピア人もコーヒーが大好きです。人によっては1日2杯飲まないと生きていけない!という人もちらほら。

そして、不思議な点がそのコーヒーの飲み方にあります。皆さんはいつも、コーヒー豆を挽いた粉をフィルターに通してから飲むかと思いますが、エチオピアでは挽いた粉ごと一緒に沸騰させ、ろ過させずにそのままコーヒーとして飲みます。煮出して作るのでとろみが出て、濃厚な味わいです。このため、ブラックではとても強いので、砂糖を3杯ぐらい入れて飲むのがエチオピア流です。おかげでわたしも甘くて強いコーヒーが大好きになってしまいました。

収穫したコーヒー豆を運ぶ女の子

収穫したコーヒー豆を運ぶ女の子

海外に行った時の楽しみの一つに、現地での食事が上げられると思います。エチオピアでは主食として「テフ」と呼ばれるイネ科の穀物を食べています。日本ではほとんどなじみがありませんが、栄養価が非常に高く、健康志向が高い海外のセレブたちの間では人気急上昇中とのことです。エチオピアではこのテフを粉状にし、クレープのように焼いた「インジェラ」を食べています。一見クレープのように見えるインジェラですが、2日ほど常温で置き発酵させているため、酸味が強く効いていて、初めての方にとってはとても不思議な味がします。

エチオピアの伝統料理インジェラ

エチオピア特有の料理「インジェラ」

クレープ状のインジェラの上におかずをたくさん載せ、ぐちゃぐちゃに混ぜながら、手を使って上手に丸めて食べるが一般的です。アフリカでもエチオピア特有の食物だそうです。インジェラは日本人にとってのお米のように、毎回の食事で必ずと言っていいほど口にします。独特の味の強さがあるため、日本人や欧米人では好きな人と嫌いな人とに大きく分かれます。日本での納豆がそうであるように、エチオピアに滞在する外国人にとって一つの関門のようにも思えます。

コーヒーやインジェラ以外にも、エチオピアには独特な文化がたくさんあります。そんな不思議の国のエチオピア。皆さんもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

*こちらの文章は、キリスト新聞(12月1日・25日)に掲載された記事を転載したものです

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この記事を書いた人

大井 光一ウガンダ駐在 プログラム・コーディネーター
早稲田大学法学部卒業。
エルサレム・ヘブライ大学法学修士(国際法・人権)修了。
国際人道法を中心に学ぶ。難民支援機関でのインターンを経て2015年1月に入団。2018年4月からウガンダに駐在し、南スーダン難民支援を担当。2019年3月退団。
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