「地球あちこち チャイルドの国を知る旅」とは、チャイルド・スポンサーの方々が支援地を訪問して、チャイルドや地域の人々と交流し、支援の成果を見ていただく支援地訪問ツアーです。毎年2~3回企画しており、現在22カ国で行っているチャイルド・スポンサーシップの各支援地を約7~10年に一度の周期で訪問しています。
このツアーは、チャイルド・スポンサーシップの登場人物が、一堂に会する特別な機会です。登場人物は、チャイルド・スポンサーと、チャイルド、チャイルドの家族、地域の人々、現地スタッフと、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)のスタッフです。私もツアーに同行させていただく機会が何度かあり、そのたびに感動をいただいています。ツアーの感動とは何なのでしょうか。
<チャイルド・スポンサーにとって>
ツアーの目的は、チャイルドと会い、支援の成果を見ていただき、「スポンサーをしていてよかった」と思っていただけることです。昨年度は、ケニアとタンザニアの2回、ツアーがあり、あわせて36人が参加してくださいました。全体のスポンサーの0.07%にあたります。ツアーに参加してくださった方は、様々な事情から現地に実際行くことがかなわない多くのスポンサーに代わって、チャイルド・スポンサーシップを現地で見てきてくださるスポークスマンです。
これまでのツアーに参加くださった、チャイルド・スポンサーの声をご紹介します。
支援地に行くと、地域の人々は私たちを温かく迎えてくれました。会ってすぐのチャイルドは表情が固く、私もチャイルドが喜んでくれるか不安でした。しかし、そんな不安はものの数分でなくなりました。覚えたての現地の言葉であいさつをして、一緒に絵を描き、写真を撮ったりしているうちに、チャイルドのたくさんの笑顔を見ることができました。風船などで体を動かし遊んでいると、チャイルドの底なしの元気に私の体力が負けてしまうほどでした。お別れのときには、会ってから数時間しかたっていないのに、涙を流し見送ってくれるチャイルドもいました。…目で見て、肌で感じ、感動し、涙し、とても素晴らしい旅でした。(スワジランド訪問 川口さん)
一番感じたことは、村人たちの一生懸命さです。私たちを取り囲む人々の笑顔が心に残り、現地の人々とチャイルド・スポンサーの強いきずなを生んでいく。この人たちと、村を支えていきたいと強く感じた瞬間の連続でした(ラオス訪問 根岸さんご夫妻)
タンザニアに行かれた水野さんからは、今後ツアーに参加するかどうか検討されているスポンサーへのメッセージをいただきました。
もし、自分の支援地を回るツアー案内があった時、参加するか迷うことでしょう。時間も費用もそれなりにかかりますし、訪れる先は観光地でもありません。同行するスタッフもプロの添乗員ではありませんし、行程も大変な場合があるでしょう。でも、そんなことが関係ないくらい「行ってよかった!」と思える内容になります。実際に見る、聞く、感じる。日本にいてはわからなかったことを知ることができます。さらに、ほとんどのチャイルド・スポンサーは、チャイルドと一度も会うことはありませんが、ツアーに参加すれば会えます。この経験が両者にとって忘れられない素敵な経験になることは間違いありません。
<ツアー参加者同士が仲良くなる!>
様々なバックグラウンドをもつチャイルド・スポンサーの方々は、ツアーの間、お互いを思いやり、助け合い、仲良くなります。あるツアーでは、現地で車に分乗した小グループで、お父さん役、お母さん役、お兄さん役といったツアー家族が構成されたこともありました。帰国後はお互いに訪問しあったり、同窓会を開いたりと、素敵な関係が築かれています。私は、チャイルドへの愛の心が、ツアーの間に増殖していくのだと思っています。
<現地にとって>
一方、現地にとっては、日本のチャイルド・スポンサーの方の訪問は、大きな励ましであり、喜びいっぱいの大イベントです。
多くの場合、チャイルドとの面会は、支援地訪問の第一日目の午前中ですが、広い支援地域に散らばって住んでいるチャイルドを、時間に遅れずに集めることも、日本のように簡単ではありません。公共の交通手段があるわけではなく、スタッフがバイクなどで、一人ひとり迎えに行きピストン輸送するということもありました。面会場所に早く連れてこられて、待ちくたびれて退屈したチャイルドが、外に遊びに行ってしまい、スポンサーの方が到着した時、スタッフが探し回るということもありました。スポンサーシップは学校の理解のもと進めていますが、学校を休む調整も時には発生します。
<インドネシアでのエピソード>
最後に、インドネシアツアーでのエピソードをご紹介します。
インドネシアツアーでは、ゴム栽培のグループ訪問が予定されていました。しかし、スケジュールが押し、さらに熱帯地域のスコールで、道がぬかるみ、ゴム園の中に入っていくのは危険との現地スタッフの判断がありました。そのため、スポンサーにはバスで休んでいていただき、WVJのスタッフだけが、この日のために準備して待っている人々の所に行くことになりました。ところが、事情を聞いたスポンサーの方は「ぜひ、行きたい!」と言い、結局、安全な道を選んでもらって、スポンサーもカッパを着て、びしょ濡れになりながら、一緒にゴム園に入って行きました。ゴム園の中は、茂った木々で薄暗く、激しい雨は木々の葉に遮られて下にそれほど落ちてきませんが、むしろ葉にあたる雨音で、人の声がかき消されるような所でした。私たちを待っていてくれた地域の男性たちは、ゴムの改良品種の説明、樹液からゴムをつくるプロセスの実演など、支援の成果を、誇らしげに説明してくれました。
支援には、支援金と確かな専門技術が必要です。でも、本当に支援活動が生きたものとなるには、信頼関係が何より大切です。通常は、そこにワールド・ビジョンが間にはいって、つなぎ役を担わせていただいていますが、ツアーでは、「人を信頼するスポンサーの方の心」と「その信頼に応えたいという地域の人々の心」が直接触れ合って、互いに近づいていくことを感じます。私がツアーに同行するたびにいただく様々な感動の一つです。
スポンサーサービス課
池田 知子
この記事を書いた人
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