こんにちは、アドボカシーチームの中村です。前回のブログで、声なき人の声となる、という記事を書かせていただきました。今回は、カンボジア出張を通じて考えさせられたことを書きたいと思います。
3月上旬にカンボジアに出張に行き、現地の人身取引対策プロジェクトを視察しました。現地の人はどういった問題を抱えているか、何が必要なのか、ということを聞かせてもらい、この問題にアドボカシーとしてどういった形で日本から働きかけることができるか、ということを知るのが目的でした。
現地のワールド・ビジョン事務所、事業の現場、政府、事業パートナーなど、さまざまなところで話を聞かせてもらい、非常に実りある出張でした。しかし同時に、本当の現実とは、なかなか表にでてくることがなく、それを適切に発信していくことの難しさについて、改めて考えさせられました。
カンボジアで、地方のある村にいったときに、地元の人たちに人身取引の状況について話を聞く機会がありました。公式の統計では、その村では人身取引の被害は発生していない、ということになっていました。
しかし話を聞いてみると、被害届けをだしていないだけで、実はたくさんの人が被害者であった可能性がある、ということがわかりました。彼らが法律のことをよく知らなかったり、地元の警察などがきちんと対応をしていなかった、などということが背景にあったそうです。
最近はワールド・ビジョンの活動により改善されてきているようなのですが、こういう表面にでてこない現実というのは、この村のみならずカンボジア全土でありうることで、また世界中でおきうる状況である、と改めて考えさせられました。
本当に困っている人たち、助けが必要な人たち、というのは、そもそも支援団体が接触できないようなところにいたり、接触できても声を発することができない状況だったり、なかなか表にでてこない。また、声をあげても、うまく自分の考えを述べられなかったり、無視されたり、握りつぶされ、結果としてその意見は聞かれない。
また、私たちがその問題に光をあてるとして、それらに関する公式なデータがない中でどうやって事実を把握するのか、また本当にそういう人たちが望んでいることを代弁できているのか、難しい問題ばかりです。しかし、だからこそ知恵をもって、取り組んでいかなければならない、改めてそう思わされました。
「メコン拡大地域の労働者取引について私たちが知るべき10の真実」(本語版 要約)PDF
10 thing you need to know about labour trafficking(英語版 提言書)PDF
この記事を書いた人
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貧困や紛争の原因について声をあげ、市民社会や政府による行動を通じて問題解決を目指していくアドボカシー。
他のNGOをはじめいろいろな関係者と連携しながら活動を行っています。ロビイングやキャンペーンにかける想い。ぜひお読みください!
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